「てめぇも意外とナイーブだったんだな」
「いや、それとこれとは別だよ。ナイーブな訳ないだろ、素敵で無敵な情報屋さんの俺が!」
さっきの、シュンとした可愛らしい顔は影も形もない。しいて言うなら、目が腫れてるいる以外は、本当にいつもの臨也だった。
「あ、」
「なに」
「ご飯つぶ」
間抜けにも口元についたご飯をとろうと手を伸ばして少し肌に触れると、大げさ肩を揺らす。
その仕草は弱みなんて見せまいとする姿からは、想像もつかないくらい可愛い。
「なんで、ニヤニヤしてるの」
「可愛いな、と思ってな」
「なっ…!」
照れ隠しなのか?
食べ物を次から次へと口へ運び咀嚼している。うん、可愛いなコイツ。ノミ蟲のくせに。
ごっくん、と口を一杯にしていたものを飲み込む
「あのさぁ、俺がガラスのハートの持ち主なわけないだろ。高校の時は置いといて、今はそんなこと無い!絶対無い!」
「へー」
「じゃあ、なんか傷つくようなこと言ってみてよ」
「馬鹿」
「小学生なの?」
「外道」
「まぁ、よく言われるよ」
「ノミ蟲」
「言われ慣れたよ、そんなの」
今まで言われたことの無いような悪口か。
…おぉ、思いついた。
「不細工」
「…」
「臨也?」
「あ、糸こんにゃく出てきたよ。好きだよね?はい。」
「お、おう」
……ん?
次の日
「邪魔するぞ」
「どーぞ」
臨也は仕事だか何だか知らんが、パソコンをひたすらカタカタいわせるだけで、こちらを見ない。
「なんで今日は眼鏡なんだ?」
「いつもコンタクトだからね。たまには目も休ませないと」
カタカタ
「マスクは?」
「花粉症。もう花粉飛んでるらしいよ?化け物な君には関係ないだろうけど」
カタカタ
「別に、不細工とか思ってねぇからな」
「へぇーふーんそーかぁ」
カタカタカタカタカタカタカタカタ
俺はやっぱり臨也はナイーブなんだな、と判断した。