派生組大量出演中!






「臨也、帯結んでくれないか?」「臨也くん、見て!これ俺が書いたんだよ!」「おい臨也!お前、俺のオカズ用パンツ(臨也使用済み)どこやりやがった!」「臨也さん、紅茶入れましたよ」

扉を開けたらそこは、カオスでした。

「はい、これでおっけー!ん、あぁ、絵上手くなったね。パンツは洗濯したよ。次やったら、スクラップにするよ。紅茶?ありがとう、そこ置いといて」

久々に臨也の家に殴り込みという名目で会いに来たのだが、まさかの光景だった。
臨也の顔そっくりな奴が二人と俺そっくりな奴が二人。状況が上手く飲み込めないんだが!

「あれ?シズちゃん?」
臨也が俺に気付いた瞬間、一気に10個もの目玉がこっちを向く。
…凄く、威嚇されているんだが、俺にどうしろと?

「何?やけに大人しいね、気持ち悪い!シズちゃんもしかして、また扉蹴破った?本当やめてくれない?修理費も馬鹿にならないんだよ?あ、単細胞に言っても無駄か。4人ともシズちゃん見張っといてね。エントランス壊されてないか確認してくるよ」
そう言って上着を着ると、あっという間に部屋を出ていきやがった。
なんだあのノミ蟲

「おい」
ぼーっと、臨也が出ていった方を見つめてると後ろから声をかけられた。

「てめえが『シズちゃん』か?」
「あのなぁ俺には平和島静雄って名前があんだよ!」
「あー、とりあえずシズちゃんだろ?」
気怠げに聞いてきたソイツは真っ白なスーツを着て、真っピンクな目をしていた。何より俺と顔が瓜二つである。何だこれ、怖い。
イライラよりもよくわからない物に対する興味のほうが大きい。

「お前ら、一体何なんだ…?」
「なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け!俺らはなぁ…ってぇ!」
急にピンクな俺の頭を誰かが横から蹴り飛ばした。

「お前は説明が下手だろう。だから僕が直々にこいつに説明してやる。」
おいおい、次は王子様な臨也だと…?どうなってやがる…。

「僕たちは所謂、アンドロイド。馬鹿な君に分かりやすく説明すると、人造人間みたいなものだ。」
何だコイツ。臨也より傲慢っぽい。俺より背が低いのは確かなのに、見下されてるような気分になるのは何故だ。とりあえず一発殴りたい。
だが、説明は聞きたいのでその衝動をグッと押さえ込む。

「僕らはとある研究所で開発され、それぞれに別の感情プログラムから本能、痛覚プログラムまで完備された、もはや人間に限りなく近いアンドロイドなんだ。ただ、開発者は一つだけミスをした。」
ふぅ、と一息ついたかと思うと、王子様な臨也は勿体ぶるように言葉を発しようとしない。
短気な俺は、つい続きを催促してしまう。

「その、ミスってなんだ?」
「…恋愛対象に関してのプログラムが皆同じだったんだよ。」
「は?」
「つまり、皆が皆同じ人間を好きになってしまう可能性があったんだ。勿論、別々に場所を離して違う人間と出会わせるようにしてしまえばそれで終わりだったんだけど。残念なことに、開発者が馬鹿だった。たまたま研究所に来た臨也さんと、僕たち4人を一斉に会わせてしまったんだよね。」

単細胞単細胞と言われる俺にも、そろそろ話のオチが見えてきた。
「つまり、お前ら4人同時に臨也に一目惚れしたのか?」
「そうだよ!だって臨也くんかっこいいもん!」

さっきまで黙って俺を睨むだけだった白いピンクな臨也が口を開く。

「ついでに名前を紹介してやる。この白くて子供っぽい奴がサイケ。で、和服で無口な津軽と、白くてドがつく変態のデリック。そして僕が日々也だ。」

「お、おう」
「何か質問は?」

話を受け止められた自分にちょっと感心した。
いや、それよりも大事な事がある。
俺は高校の時から臨也のことが好きなんだ。お分りだろうが、今の今まで一度も思いを明かしたことはない。池袋に来るな!と叫んで天邪鬼な臨也に出来るだけ来てもらおうと画策したり、飽きられないように既に常人の範疇じゃあない筋肉をさらに鍛えてみたり、殴り込みと称して臨也の家に上がり込んだりを繰り返している。
自分で言うのは悲しいが、奥手でムッツリで好きな相手いじめるなんて小学生な恋愛をしている自覚はある。
今まで主だったライバルなんて現れなかったから、なんとなく暢気に臨也に恋してきたのだが、コイツらはヤバイと野生の勘が訴える。
思い切って、ききたいことを聞いてみる。

「お前ら…臨也とどういう関係なんだ!?」
「おはようからおやすみまで暮らしを見つめ、チューしたりギューしたりベットを一緒にギシギシする関係だ」とデリック。
「臨也くんは僕の嫁だ。」と日々也。
「大好き!」とサイケ。
「大切な人だ」と津軽。

なんだコイツら、ヤバイんじゃないのか、俺!?
まずデリックのギシギシにかなり不安を覚えた。
頭に血が登るのを感じる。

「もし、」
ついさっきまで黙っていた津軽が口を開く。
「僕達から、あの人を奪ったらただじゃおかない」
パイプを銜えながらニコっと笑われたのだが。
ついにプツリときた。

「黙って聞いてりゃ好き勝手いいやがって!!何がギシギシだ、嫁だ、大切な人だ!!いいか、よく聞け。臨也はなぁ、俺のもんだ!」
「あのさぁ、いつから俺はシズちゃんの物になったの?」

後ろから掛けられた声に、はっと我に帰る。
いつの間に戻ってきてやがった!
やべぇ聞かれた…!

「いや、これは、その…」
「?まぁいいや。とりあえずエントランスを壊さなかったのは褒めておくよ。」

え、スルー?
俺のモノ!なんて言われたら普通「お前、俺のこと…」ってならないのか?
呆然としていると、さっきまで目の前にいた4人組がわらわらと臨也を囲んでいる。

「臨也くん、大好きだよ!」
「あー、ハイハイありがとうね」
「臨也、恋人になってくれ」
「津軽、そんな冗談言えるようになったんだね」
「嫁に来てくれないか?」
「ははっ、俺は性転換する予定はないよ?」
「セックスしよう」
「どうやって?まず、なんで俺と?」

さっきの俺の発言に焦って思い思いの告白をしているようだが、臨也がヤバイ。
その躱し方は、池袋での大乱闘の時の、なかなか捕まらない様を彷彿させた。
ただ、決定的に違うのは

「鈍っ…」
無意識に全てをスルーしていることである。
この時俺は学んだ。
臨也は天然モノだと…
そして少しくらい強引でも何も気付かないと!

「臨也くーん」
「なんだよシズちゃん」
「ちょっとここ座れ。座らないとこの家プチッと潰す」
ソファーに座り自分の膝の上に座らせようと試みる。
「事務所が潰されるのは困るなぁ」
と仕方無さそうに肩を竦めると、スタスタとこちらに歩いてきて俺の膝の上にドカッと座った。

「…」
「なんで黙るんだよ。何でこんなことさせるわけ?大嫌いなノミ蟲くんを膝に乗せるなんて、シズちゃんも変な趣味してるね。」

やっべー。臨也の顔が近い。30pものさしが顔と顔の間に入らないくらい近い。
そもそも何でコイツはこっちを向いて座るんだチクショウ!普通向こう向くだろ!?
無意識にやってるなら怖い。
今横でギリギリと袖なりハンカチなりを噛みながらこちらを見つめる4人に目をやる。
もし、コイツらの言う通りおはようからおやすみまで一緒にいるのだとしたら、こんな無防備な瞬間だってたくさんあるはずだ。
許せない、絶対許せねぇ!
こんな可愛い臨也を朝から晩まで見てるなんて!
そんなイライラが、つい俺の発言を大胆にさせる。

「あー、臨也、キスしていいか?」
「えっ、えぇぇっ!?」
腕を腰に回し、抱き寄せて耳元で囁くと、顔を真っ赤にして、目を白黒させている。流石にこれはバレたか。

「い、いい、」
「いいのか!?」
まさかの返事に心臓がはね上がった。改めて体を離し少しずつ顔を近付け、臨也の赤い唇に触れ…るはずだった。

「い、いやだ!絶対!」
キスしようと顔を近付けたらクッションを間に挟まれた。
クッション、殺す!!

「シズちゃん大丈夫?俺だよ?君の大嫌いな俺だよ?薬でも盛られた?シズちゃんの考えること分から無さすぎる!これだから俺はシズちゃんがキ、ぶっ」
嫌い、なんて言葉が聞きたくなくて目の前のクッションを顔に押しつける。

「鈍すぎるだろテメェ」
「は?」
「だから!俺はノ、じゃなくて臨也のことが好「臨也くーん!これ食べていい?」

サイケ…。無邪気な顔して素晴らしいスキル身につけてやがるな…。
俺の告白を邪魔した罪は重いからな!!スプラッタ殺してやる!!

「あ、そのプリンは駄目だよ。コーヒーゼリーならいいよ。」
サイケの言葉に反応して、臨也が俺の膝から離れる。
ちらっと見えた耳が真っ赤で、もしかしたら少しは意識してくれたのか?なんて期待を抱く。

「あ、待「臨也!これ着てくれ!」
引き留めようとしたら、また被せられた。本当にお前らタイミングがいいな。わざとか?わざとだよなぁ!?

「何これ」
「俺のシャツ、つまり彼シャツだ」
「か、れシャツ…?別にいいけど…」
「待て、今から脱ぐから着るなら俺のシャツを着ろ」

彼シャツってなんだ!彼氏はテメェじゃねぇ!
ベストを脱いでシャツを脱ごうとしていると、津軽が割り込んで襦袢を着てほしいとか言いだしやがった。デリックと津軽と3人で誰のを着せるか口論していると、臨也がついにキレた。

「いい加減にしろ!俺で遊ぶのも大概にしてくれ!シズちゃんもさっさと池袋に帰りやがれ!おまえらも俺を一人にしてくれ!シズちゃん、次に妙な真似したらただじゃおかないから!」と叫んで、自室に籠もってしまった。


「なぁ、」
「何だ」
取り残された5人で顔を見合わせる。

「てめえらも相手にされてねぇじゃねぇか」
「う、五月蝿い!」
「デリックに至ってはキスもハグも嘘だろ。あいつ全然馴れてない。ギシギシなんて有り得ねぇ」
「…ぎ、ギシギシはやるぞ!勝手に潜りこんで」
「ほお。潜り込むだけだろ」

目に見えてうなだれる様子についニヤニヤしてしまう。
はっ、ざまぁ見ろ!
でも臨也のベットに潜り込むなんて行為は許せない。俺だって一回もベットで寝てるとこ見たことねぇのに!


「シズちゃんさん」
「なんだ?」
「相手にされてないのは、あなたも同じじゃないのか?」
津軽に真っ当なことを言われてしまった。

「それに比べて僕らは、24時間一緒なんだからチャンスは山ほどある。ははっ、ざまぁないね!」

ぐっ、くそ…っ!何も言い返せねぇ…。
俺が悔しさで押し黙っていると、サイケが腕を引っ張って、シズちゃん帰って!と言う。

…今回は出直すとするか。
「また来る」
「別に来なくていいぜ!」
帰り際にデリックには一発デコピンを食らわせておいた。
臨也の生パンツをオカズにしてたらしいのも許せねぇからな。


…ノミ蟲の貞操が心配なので明日も臨也ん家へ行くことにする。








―――――
リクエストの「派生に愛される臨也と嫉妬静雄」を書いたけど、ボーッとしてて「恋人設定」をうっかり見逃し忘れてしまったモノ。
わたし、馬鹿…。
この設定だと改変のしようが無くてむしゃくしゃして書き上げた。
途中から投げやりかもしれません、ごめんなさい。
リクエストはちゃんと恋人設定で書きますよ!
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