後日談

「だから何度も言ったじゃないか、コペルニクス的転回の話。今まで君たちがすれ違ってきたのは『相手が自分を嫌っている』という思い込みからであって、本質的には以前も今も何も変わってないんだよ。」
「そうかもしれねぇが、前とは全然違う。」
「そりゃそうだろうね。」
カツ、と音を鳴らしてコーヒーカップを置く。
うん、悪くないコーヒーだ。さすが闇医者!

「ところであの疑似惚れ薬は一体どういう了見だ新羅くん!あれで散々振り回されたんだ!責任とれ!」
「あっ、カップ割らないで…って、あーあ。」
「質問に答えろ」
「確かに悪かったと思ってるよ。でも結果良ければ全て良し!あれがなければ今の状態にはならなかったんだから、ある意味あれは『薬』だったんじゃない?」
「…」
新羅の言う事に一理あるものの、どこか腑に落ちない。それはシズちゃんも同じようだ。

「ところで、何時までそうしてるの?あんまり見たくはないんだけどなぁ…」
「うるせぇ」
そう言って新羅を凄むと、シズちゃんは俺の腰に回った手にさらに力をこめる。
例え変態闇医者といえども、膝に乗せられイチャイチャするゲイカップルは見るに堪えないらしい。

「痛いんだけど」
「あっ、わりぃ」
「本当に嫌だ…。ああ、セルティ!僕も君を膝の上にのせグハァッ!」

前言撤回だ。ゲイでも変態でも他人がイチャイチャしているのは、見れたもんじゃない。

「じゃあ、帰るね」
「セルティィィィ、きみの胸で窒息死できるなら本もイタタタタ!あ、またね!」

変態とその恋人を放置して、帰ることにした。



「新羅の言う通りかもしれないね」
「あぁ?」
「『薬』の話だよ。例え水だったとしても、結果あれは『薬』だったんだ。新羅が嘘つかなかったら、たぶん俺たちこんな風に手握りあったりしてなかった。」
「だろうな」

軽く笑って、ギュッと手を握られる。
これが幸せなのかもしれない、とらしくないことを考えた。






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何これ長ぇ
疲れました
13646バイトだと…!?
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