※臨也が腐ってます。
心が広い方のみどうぞ



俺は所謂、腐男子という稀少な人間だ。流石に「腐ってます!」なんて言い触らせるほどデリカシーやらプライドやら羞恥心が無い訳ではないので、周りの人間で知っているのは新羅くらいだ。バラした、というよりバレた時に(何故か感付かれた。)、「人ラブ人ラブ煩いなぁと思ってたけど次はボーイズラブ!かい?本当に頭にメスを入れてみたい限りだ。」と言われた。
あ、あと波江にもバレた。日常で話せる相手なんていないため、腐女子の皆さんとネット上で語らいあったりするわけだ。腐男子です!なんて言うと「イタタタwwwまさか(笑)」と言われるのも目に見えてるので、甘楽としてチャットしたりしてたんだけど、あっさりバレた。「なるほどね、あなたがネカマな理由が分かったわ。どうでもいいけど。そして不愉快。」と、地面に落ちてる紙くず見るような視線で吐き捨てられた。俺はMじゃないし人ラブなので、特に何も思わなかった。
そんなハプニングも負けず俺は腐を愛する!びーえるラブ!


仕事が一段落つくと、パソコンを立ち上げてメールを確認する。ネット上で知り合ったkrswという人物からメールが来ていた。

―――――
From:krsw
私はやっぱりとーきょータワーは攻めだと思いますよ!
年上攻め萌え!甘楽さん的にはどうですか?
―――――

ふむ。とーきょータワーか…。因みに俺の好きなジャンルは特に縛りはない。二次創作から何でも読む。本当に人ラブ!なんでもかんでもびーえるにできる人間を俺は愛している!これだから人間は!!大好きだ!
擬人化については王道〇タリアから電車擬人化、無機物擬人化まで幅は広い。
以前にエッフェル塔と東京タワーについて語っていたのだが、今回はスカイツリーについてである。
俺はやっぱりスカイツリーかな、新参者に東京名物の座を奪われイライラしてるけどやたら懐いてくる後輩になんだか気になるな…的なスカイツリー君はどうだ!
えー、メール返信っと。さて次はピクシ…と言いたいところだが、最悪なことに気が付いた。なんで気付かなかったんだ俺。

「よぉ、臨也くん」
「やぁ、シズちゃん。どうしたのかな、何か用?不法侵入は犯罪だよ?うん。とりあえずさいつから居たの?」
「てめぇがニヤニヤし始めた頃から。色々声出てたぞー」
最悪だ。イヤホンをつけて音楽聞いていたし、集中していたので全然分からなかった。こめかみに冷や汗が流れる。大失態だ、本当に人生最大の汚点だ。
ふと画面から目を逸らして前を見たらシズちゃんがいるなんて!あり得ない。

「ノミ蟲、」
不快なニックネームを呼びながらだんだん俺に近づいてくる。何がしたいんだ?大きな音が聞こえ無かったあたり、丁寧に扉を外したのだろう。
最近は大人しくしていたし、イタズラもしていない。もしかして思い出してイライラしたから殴らせろ、という厄介な理由なのかもしれない。ヤバイ、と思って腰を浮かせると手が伸びてきて、肩を押さえつけられ椅子に逆戻りした。
するとシズちゃんが、顔を寄せてくる。
近寄ってきた顔はイケメンで。そういえば、池袋エブリデデデ!!なんて同人アンソロジーで、シズちゃんフル出演だったなぁ…なんて思い出した。誰だあんな趣味悪いの出版したのは。まぁ顔だけはイケメンだからね。

「おい、お前ゲイなのか?」
あと三センチでシズちゃんの鼻に俺の鼻がひっつく。あー近いなぁー鬱陶しいなぁー。これだけ近ければ聞き間違いくらいする。そうに決まっている。

「ん?」
笑顔で聞き返してみた。
「お前ゲイだろ」
断定に変わった。

冷や汗が、次は背中を流れた。手汗もぐっしょりである。なんだ、なんなんだこの化け物!
誰がゲイだ!俺はゲイじゃない!びーえるが好きなただの両刀使いだ!
そう叫びたいのに、喉に言葉が張りついて出てこない。
そんな俺の様子を見て、シズちゃんのニヤニヤ笑いが深まる。人に笑顔が気持ち悪い、など言う割に自分はどうなんだ、と問いたい。

「お前、誰にでも足開くビッチなんだって?ノンケにも掘らせるなんてどんだけ突っ込んで欲しいんだよ。」
何の話だ?そんな噂は確認していないし、身に覚えがない。そもそも俺はケツは守り通している!
「何の話?」
「あぁ?新羅が言ってたんだよ。」
そう言われて思い出した。最近読んだ話を事細かく、嫌がらせに新羅に話したのだが、内容が全く同じである。シズちゃんに話すとは。あの変態眼鏡野郎、根に持ってやがる…。

「なら、ちょっとくらい掘っても文句ねぇよなぁ!?」
「ま、待て!それ俺じゃない!その前にどういうこと?シズちゃんソッチの気あるの?違うよね?」
「はぁ?俺はゲイだ。」
素晴らしいどや顔。流石幽くんの兄だけあって風格があるなぁ…。いや、そんなことどうでもいいんだ、シズちゃんがゲイだと!?初耳である。年上のお姉さんじゃなかったのか?違うのか?
じっと目を見つめると、同じように見つめ返される。するとシズちゃんはだんだん下を向いて目を伏せた。
睫毛長いなぁ。髪の毛と違って睫毛は黒い。そして「お前乳首ピンク色なんだな。エッロ」
「なんでいきなりシャツめくって、人の乳首評価してるんだ!変態!通報するぞ!」
「うるせぇ、あー舐めていいか?舐めるぞ?」
言ったと同時に、生暖かい湿ったものが胸を這う。
抵抗して暴れると、椅子から引き摺り落とされフローリングに背中を打ち付けた。

「痛い、って、俺はゲイじゃない!俺は見る側専門!だから、っひ、舐めるなって!やっ」
「可愛い声出るじゃねぇか。鬱陶しいが、今日は声出すの許可してやる。だから思う存分喘げ」

話を全く聞かずに俺の胸を舐め回すシズちゃんは、ついにズボンに手をかけやがった。
だから違うってぇぇ!!という俺の叫びは、完全防音の室内にこだました。


不本意ながら次の新刊のアイデアに横暴ゲイ×不憫腐男子の攻防戦なんてものが過った。何があっても、それだけは書きたくない。



―――――
すみませんでしたor2
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -