Schatz | ナノ




Confinement.





 創るよりも、壊すことを

 選んでしまったから




 最期に欲しかった言葉も

 貴方はくれたけれど



 その代償は---





 Confinement.





 貴方と出会った、一番最初。
 貴方は僕に歌をくれた。

 今までは何とも思わなかった

 興味すらない筈の世界が
 初めて色付いた日。

 マスター…あの日を覚えていますか?


 例え貴方がKAITOと云う
 肩書きにしか興味がなくても

 それでも貴方は
 僕を、好きだと言ってくれた。

 それがとても、嬉しくて

 僕は特別なのだと
 そう思っていました。





 けれども

 ある他の日。
 マスターを訪ねて来た少女。

 貴方は彼女と話をして
 彼女に笑いかけていました。

 それが何だか、悲しくて
 僕だけを見て欲しい。

 
 僕だけが特別ではないの?

 大きく大きく、膨らむ不安と
 それより大きい独占欲。




 「マスター、貴方はどうすれば
 僕だけを見てくれますか?」


 一度だけ、聞いてみました。
 すると貴方は


 「さぁ…僕と帯人しか
 いなくなれば帯人だけを

 見てあげられるかもね」

 そう答えました。


 それならば、それならば
 全て、壊してしまえば

 貴方は僕だけを見てくれますか?





 最初は何を壊しましょう?

 考えている最中に
 掛かって来た電話。

 マスターが出ると
 聞こえた声は以前の少女。

 「明日、行ってもいい?」

 そう言う少女の声。

 会話が終わってから
 マスターの元へ行く。


 「マスター、今の電話は誰からですか?」

 「知り合いだけど…?」

 「明日、来るんですか?」

 「多分ね。」


 それならば…





 マスターから時間を聞き出し
 その時間に業と、マスターが

 どうしても避けられない
 用事の嘘をついた。

 ごめんなさい、マスター。
 でもこれが最善の筈。

 少女が来る時間。

 アイスピックを隠し持って
 少女を出迎え、刺した。

 こうすれば、
 マスターが僕だけを見てくれる

 そんな気がして。





 僕が、刺した。

 そんな罪の意識よりも
 マスターへの思いは何倍も強くて

 流れた大量の赤の中で
 僕は、笑っていた。

 ただしあわせ、だったから。


 結局帰って来たマスターは
 凄く驚いていたけれど

 そんなマスターを部屋に閉じ込めて

 少女の"後片付け"をして
 マスターは閉じ込めたまま。




 もうマスターは僕のもの。

 ここから二度と出さない。


 逃がしてなんて、あげないから。

 だから…










 僕だけを、見て下さいね?



 -END-

 * * * 

哀愁交響曲様でキリ番踏んでリクってきた『KAITOがアンインストール』なマス帯。
相変わらず病んでれが好きです。

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