memo | ナノ
▽言葉のない庭:元ネタ


月蝕の日に書いた京関



何も考えず、ぼんやりと空を見上げた。月が綺麗だ。星が案外善く見える。此れほど───空が清んでいたなんて。月はじわじわと欠け、手を伸ばした処で触れることすら叶わないほど遠くに在った。暫く空を見上げたままふらふらと歩いた。この静寂があまりにも愛おしい。ぐら、と身体が傾いだ。真上を向いているので、重心が後ろに傾くのだ。私はその勢いを殺さず、片脚を軸にしてくるくると回った。今、酷く、この静寂と孤独が愛しかった。───彼に会いに行こう。白い吐息と共に吐き出した言葉は、誰にも届かないまま融けて消えた。


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