2012/02/05 17:46 その願いは常に僕を蝕む。僕には僕が重すぎる。僕は僕を負っては生きてなどゆけぬ。 「止、めないで、くれ」 「止めるさ。止めさ、せ、て、く、れ、よ」 其の声が僕を引き止めるのだと、彼は知って僕を呼ぶのだ。 「しゃべ、る、な」 「せっ…!」 彼の喉に手を伸ばす。ごつりと出た喉仏を親指で押し込む。彼の声が、掠れて消えた。 喘鳴が脳裡を埋めた。 「ごめんなさい、死なないで、頼むよ…置いて行かないでくれ…」 僕は怖く成って終った。彼を失うなど耐えられぬ。僕を殺し得るのは彼だけだ。 僕を生かすのも、彼なのだけれど。 *111224 *殺される為だけに生かされている、僕 |