此処に居ることが大切なのさ 2012/02/02 16:21
君は幸せかいと京極堂は訊いた。
「不幸せ、かな。」
よくわからないやと関口は困ったように笑う。
「どうして?」
「だってこの世界には何もなさすぎて」
酷く寒々しいじゃあないかと。
「何もなくはないさ」
互いの体温で暖め合って。
「君がいて、僕がいる。これ以上にまだ必要かい?」
わかっているなら訊くなよ───と関口は顔を朱に染めた。
「そんなに心配することもあるまいよ」
何も無い方がいい。
きっと、ふたりぼっちなら幸せさ。
*111104
*甘くはない *苦くもない *でもなんとなく甘い
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