2012/02/02 16:19 首筋に歯を立てる。 その透明さが疎ましい。 その儚さが厭わしい。 清らかな肌膚(ハダ)を穢して、頸筋に緋を。 血の滲んだような、緋を。 所有の証を。 「っ…!」 滲んだ緋(アカ)は、欲情の色。 「京極ど、君、一体如何し…っ」 嗚呼、煩瑣いな。今からが楽しいんだ。 「吸血鬼(ヴァムパイヤ)の真似事なんて、悪趣味な真似は…」 「先刻から煩瑣い関口」 頸を絞めてみるのもいいかも知れない。歯形よりは長く残るだろう。 「は」 関口が苦しさに顔を歪める。この表情が一番×××だ。 寄せられた眉、赤く染まった頬、荒い呼吸。これを官能的(エロテイック)と呼ばずしてなんと呼ぼうか。 ───散り際の華の美しさ。 そんな美しさだと思う。 容易く手折られて仕舞う華だけがもつ儚さ。 儚さ故の神聖性。 穢すことでその存在が強くなるなら、私は罪を負ってもいい。 そんなことを考えながら関口の頸を絞めた。 *111010 お題:その首筋に歯をたてる *やっぱり京極堂が似合うと思う *痕が付くっていうのが大事なのです |