memo | ナノ



デリート、
2012/02/02 16:18

「好きなんです、先生が」
思わず言ってしまった。

という顔で、少年が俯いた。数年前はあんなに敵意を露にし、嫌われているどころか憎まれていると思っていたのに。
そしてその言葉を、何故か嬉しいと感じている自分に戸惑う。

「ポッター」

背後から肩に手を置く。びく、と少年が怯えて肩を跳ねさせる。
罰則の最中だというのに、自分は何をしている?

「冗談を言う暇があるなら手を動かせ」

卑怯な大人の顔をして、冷たく突き放す。
たとえ告白が本当だったとしても、踏み潰してやればいい。
そうすれば、また。
(また、なんだ)

くそ。

思考がこの子どもに侵蝕されている。常に冷酷にあるはずの自分としたことが、なんという様だ!
腹立たしい。
子どものくせに。あのジェームズの息子のくせに。
私の心を掻き乱すなど、許さない。

触れたいとか、
愛しいとか、
優しくしたいとか、

そんな想いはすべて、消えて終うまで憎しみで覆って。

はじめから無かったことにしてやる。


*111024
お題:リセットボタンを探しています。

*先生が激しく偽者くさい



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