78 よくわからないけど、死ネタ
赫が散った。動けなかった。動く事すら出来なかった。無骨な鋼で貫かれた身体。俺を見た青灰色の瞳から零れたひとしずく。酷く透明なそれは地面に落ちて、すぐに赫くわからなくなった。
全てが現実離れしていて、けれどだからこそ何よりも現実だと突きつけてくる。貫いたのは、鋼。彼を、貫いたのは。
貫いたのは。
「え、」
間抜けな声。それが自分の物だと気付くのに時間がかかった。動けない。認めたくない。俺は、彼を。唯一無二の彼を。
嘘のように、たちの悪い冗談のように、鮮やかすぎて眩暈のする赫色。ぼたりぼたり、伝い落ちる。ぬめる手が。なんで、こんな。
冷たい銀色が嗤う嗤う。赫い赫い闇を覗かせて嗤っていた。
リフレイン。
零れ落ちた透明が頭をかき乱す。信じられない、と見開かれた瞳。伸ばされた、けれど届かなかった手。守りたかったのに、守るべきだったのに。閉じた青灰色は開く事はない。
幻影が嗤う嗤う。またお前は守れなかったと、所詮人のフリをしている私の人形だ、と。
幻影。そうだ、あいつだ。きっとそうだ、だってそれ以外に考えられない。俺は彼を守りたかったのに。
リフレイン。
邪魔だ、消えろよ。
俺はあいつを今度こそ。
今度こそ?前にもこんな事が、あったの、か。あったのか。
リフレイン。
リフレイン。
リフレイン。