78、意味もなくカオスコ










殺人的な威力を持った、黒い足が振り上げられる。しかし、目的の物は壊せず、それは無意味に地面を砕いた。
常人は持ち上げることすら出来ない、重たい鋼を軽々と振り回す腕が、鋼を叩きつける。が、それも避けられた。
剣戟。久し振りに噛み合った互いの牙は、嬉しそうに悲鳴を上げた。

破壊されきった世界。世界は、闇に沈みかけ、形を保とうと喘いでいる。永遠と闘争を繰り返される世界に囚われた彼らは、ただ、神と呼ばれる存在に従っていた。
秩序に従う金髪の男と、薄青い瞳で鋭く男を睨みつける青年。金髪の男はクラウド、相対している青年はスコールという。
お互いに違う神に従っている彼らは、分かり合えるはずもなく、ただ闘争を繰り返すだけ。


至近距離からの目くらましを兼ねて、顔面へのファイアが放たれる。他人に卑怯だと言われようが、クラウドは兵士であったし、スコールは傭兵だ。相手の息の根を、確実に止めるのが最優先だ。その為には手段は選ばない。
クラウドはそれを、大剣を振り回し吹き散らしたその勢いのまま、スコールに突っ込む。そのクラウドの大剣を、爆発によって威力を補ったガンブレードで受けるスコール。

鋭く甲高い金属音。
響いた舌打ちは、どちらの物か。前蹴りを放って、クラウドが怯んだ隙に、スコールが距離を取る。クラウドはそれに追いすがる。
まともに打ち合うと不利だ、と思ったのか、スコールは魔法を主体に応戦し始める。
だが、ブリザドを叩き落とし、サンダーを蹴散らし、クラウドはスコールに肉薄する。しかし、スコールも黙ってはいない。
隙の大きいクラウドの斬撃の合間に、先手を取る。ガンブレードが近ければ斬撃を、足が近ければ蹴りを、距離が遠ければ魔法を、放つ。
その頭に叩き込まれた、種々の知識を以って、クラウドの息の根を止めようとする。そして、それはクラウドも同じだ。
形振りなど構っていない、相手を屠るためだけの熾烈な攻防。
地面が抉れ、オブジェが壊れる。互いの身体には、避けきれなかったがため、小さい傷が残っている。体制を立て直そうと、互いに距離をとる。

小休止。
スコールは口元を拭い、血の混じった唾を吐き捨てた。クラウドは片目を眇め、髪を掻き上げる。
視線は外れないまま。


「…アンタ、」
「知らないな、」


クラウドの、何かを探るような言葉をブチ切り、そのまま跳躍、爆発音。不安定な体勢で、防ごうとした大剣は弾かれて。
首筋に突きつけられた、ガンブレード。
絶対的優越に、その薄青い瞳が、その薄い唇が、弧を描いた。


「あんたは俺だけ見てればいいんだよ」









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