『あの子がしんじゃった』
電話越しに彼女が泣きながら言う
寂寥感に満たされた言葉
何て返せば正解か私は分からない
「そうなんだ…」
ありきたりな言葉の羅列を選んで発する
だって、あの子は私が嫌いだったもの
私に悲しまれても嬉しくないはず
私が彼女と遊ぶとあの子は寂しそうにする
あの子の事を空気の様に扱った、私も彼女も
『もっと遊べば良かった』
鼻をぐずらせて彼女は泣く
彼女が泣けば私も泣きたくなった
でも決してあの子の為の涙じゃない
電話を切って、呟いた
「なんで死んじゃったの、さくら」
彼女をなんで泣かしたの
彼女の泣き声は聞きたくないのに、ばか
私が代わりに彼女を守るから
私が役目を終えるその時まで休んでていいよ
おやすみ
それは、黒い犬に向けた弔辞
◎ 好きに切り取って使ってください