木漏れ日のうた | ナノ



 人は己の信じない、信じられない現象を目の当たりにするとまずは言葉をなくすと先日師から説かれたばかりだが、だからといってなにも自ら実演して見せなくてもいいのではないかと高杉は唖然としながら思った。否、そう思うことでしか正常な思考を保つことができなかった。

 季節は夏。暦の上では秋だなんだとほざいていながら秋らしいものと言えば晴れ渡った空だけ。一層強くなる日差しと地上での短い生命の残り僅かな時間でつがいを作ることに励む蝉に正直苛々としながら、そして何故かいつもの如く道でばったり会った桂に更に苛々を募らせながらの日曜、高杉は今日も今日とて塾に赴いていた。
 ジリジリと太陽が地を焦がす。ぶれる視界の先にあるのは時折そよぐ風に土煙の立つ一本道。傍らには青々と生い茂った田んぼしかない。
「それにしても殊更暑いな、今日は」
 手を翳し、恨めしそうに見上げる桂に癪だが同意した。
 着いたら先に冷えた井戸水を飲もう。それから漢文で分からなかった箇所を聞くのだ。桂が教えようかと申し出たが取りあえず叩いて黙らせた。癖のない髪を束ねた桂の頭は日差しを受けて熱かった。
「大暑も過ぎた。あと少しもしたら立秋だぞ」
「二十四節気なんて今の気候に当てはまると思ってんのか?」
「いや、論理上では」
「論理は現実じゃねーんだよ馬鹿ヅラが」
 桂の発言を容赦なく切り捨て、小さく見えてきた建物に高杉はほっと息をついた。
「馬鹿じゃないヅラでもない桂だ。それくらい分かっておる」
 だがしかし、と桂がまだ熱弁を振るおうとしているのを見た高杉はいい加減鬱陶しいからヅラ取ってやろうかと本気で思い始めた頃に刹那、強くその暑さの元凶を反射するものが視界を掠めた。渡来の硝子のような鋭さはないが、注意を引くには十分なものだ。
 見慣れた白い子供が飛び出してきていたのだ。松陽がいつしか拾ってきた養い子はふてぶてしく間違っても出迎えるような真似はしない。良くも悪くも気配に敏い彼は対応の仕方がまだよく分かっていないのか無表情のまま来客を一瞥するだけで、それがまた高杉の癇に障るのはさて置き。
 そんな銀時が慌てた模様で出てくるものだから高杉と桂は思わず顔を見合わせた。
「高杉にヅラ!丁度いい所に…いや、悪いのか?いやでももう俺じゃとても手に負えねー!」
 いつになく饒舌な銀時にもしやその保護者の先生に何かあったのではと松陽を盲目的に慕う高杉が声を荒げる。
「おい先生か?先生なのか?!先生に何かあったんだろ何があった!」
「いや高杉落ち着け」
 そのまま母屋に駆けて行きそうな高杉と不安を顔に浮かべる桂を制し、とにかく今入るわけだけど動揺するな?何があっても動揺はするなって無理か…とにかくだな。今日起きたらあの状態だったんだよ。口籠りながら銀時が手を掛けた戸は引かれる前に開かれた。
「おはようございます、晋助に小太郎」
 異様に声が甲高い。
 そして話は冒頭に戻る。

 塾を営む松陽は二十を過ぎ、彼が幼い頃より彼を知っている人達はいい加減嫁を貰う気はないかと冗談半分、本気半分で告げてくる。武家の子息のみならず百姓や農民の子供まで一概に受け入れる彼は物腰の柔らかい態度も相まって、声誉が高い。自身曰く昔も若気の至りで色々やらかした時期もあるようだが、兵学に通じ博識で揺るぎ無い信念を持ち、それでいて案外乗りのいい松陽を尊敬する者は少なくない。繰り返すが、彼は二十歳を過ぎている。
 高杉は松陽を見た。普段見上げる位置にその姿はない。
「今日は銀時が出迎えに行ったんですね。これは珍しい…いえ、初めてじゃないですか」
 よく出来ましたねぇ、と銀時の頭を撫でる松陽は爪先立ちしていた。辛うじて手が銀時のふわふわ跳ねた頭に届いている。手を必死に伸ばしてまでそれこそ紅葉のような小さな手を光を柔らかに反射する猫毛の頭髪に埋めている師の姿。そして少しぎこちないがそれでも気持ちよさそうに目を細める銀時。それはそれは非常に微笑ましい光景で、高杉は先日父が持ち帰ったカメラというものを持参しなかったことを深く悔やんだ。ってそうじゃなくて。
 縮んでいたのだ。いや、それを目の当たりにした高杉の寿命も縮みそうだったがそういうわけではなく、心の底から敬愛する松陽が縮んでいた。身長が歳にしては小柄な銀時の肩下辺り。四尺にも届かないだろう。元々真っ直ぐだったが見慣れた肩に掛かる髪より細く、低い位置で結わえられている。記憶にあるものよりも更に色素が薄いようで、砂色を帯びた髪は日を浴びると仄かに金である。そこはかとなく面影は残っているが、目の位置が下がり鼻もどこか丸い。銀時の着替えなのだろうが、それでも裾を引きずっていた。見積もって四歳ほどの子供はまだ成長期故の華奢さにはたどり着いていない。故に全体的に柔らかそうである。そして大概のこどもがそうであるように、師は可愛かった。
 これが幼児化というものなのかというかそんなことは現実であり得るだろうかどこかの小さくなった高校生の名探偵じゃあるまいしそれともタイムマシーンかそれよりあれかバック・トゥ・ザ・○ューチャーか。でも待てそもそもこれは先生なのかまさかこれは先生の子供って先生がそんなことをするわけがないに決まってる!無限の可能性が高杉の脳内を駆け巡ること約0.3秒。
「せ、せせせせせ先生ぃ?」
 何とか声を絞り出した高杉を今気付いたように松陽が振り返り、微笑んだ。
「晋助と小太郎も、どうぞ上がって下さいな」
「ではお邪魔させていただきます」
 条件反射的に挨拶し草履を揃えて玄関を上がった桂が視線を松陽に向けたまま、高杉に話しかけた。どこか諦めとも驚きとも茫然ともつかぬ表情をしている。
「ところで高杉。俺は昨日父上と遅くまで話し込んでしまったのだ。寝不足なんだ。だからだろうか。俺には先生が縮んで見える」
「奇遇だなヅラ。俺は昨日蒸し暑くてで中々寝付けられなかったんだよ。ようやく寝れたのが夜半なんだよ。先生が子供に見える」
「ヅラじゃない桂だ」
 殆ど同時に桂と高杉は互いの頬に手を伸ばし、抓った。肉を絞られるような感覚は確かに痛みを示している。
「…貴様力が強すぎだぞ。離せ」
「それはこっちの台詞だよてめーこそ早く離せ」
 また同時に二人は松陽を凝視する。残念ながらこれが現実なんだよと遠くを見つめる銀時の目はいつもに増して感情が映されていなかった。

 立ち上がった銀時に何をするんだと問いかければ茶ぁ淹れてくると返される。今の状態の松陽が台所に立つことなんてできないだろうし、それもそうかと頷いた。
「で、先生、」
 とりあえず卓袱台を囲んで座ったところで桂が先に口を開く。
「これはどういうことか説明してくれませんか。やっぱりあれですかAPTX○8△9ですか」
「いい加減にしろや。×P□X4869なわけないだろサンデー読みすぎだ。というか先生、この状態戻るんですか」
「態々×とか□とか使ってるようだけど晋助あなたも違いますよ色々と。でも心配はいりません、これは事故でもなんでもないので」
 大きく余った袖が揺蕩い、それをひらひらと振る松陽は状況を楽しんでいるようだ。
 低い目線から見る世界が新鮮で、そして懐かしさに庭に植えたばかりの苗木を下から見上げる彼は完全に子供だった。
 日向と日陰の境界線が眩しい。
 春には白く、または薄い赤で枝全体を覆い、花吹雪を起こす巨木も葉をつけ、疎らに散る影と少し視線をずらせば鮮明に現れる日に照らされた地面の対比が目に染みる。風に合わせて揺れる木漏れ日の影が暑さに淀んだ空気を研ぎ澄ませた。
「いや先生遊ぶなよ」
 戻ってきた銀時が呆れたように、しかしきっぱりと一括する。先に納得させてから存分に観察でも偵察でもなんでもいいですからやって下さいよと桂も先を促す。冷えた茶を一気に飲み干しながら高杉が松陽に目を向けた。
「天人が開発した謂わばお遊び目的の薬でして、土佐に知人が土産にと」
「…よかった。先生で」
「え?どういうことですか?」
「いえなんでも」
 一瞬とはいえ不祥事やら認知やらの不穏な単語が横切ったことは一生黙っておこうと高杉は心に決めた。
「でもそのお土産を松陽先生は飲んでしまわれたと」
「ええ。効き目は48時間だと書いてありましたし、それに何より、楽しいじゃないですか」
 …空は青く、雲は白く、そして彼らが師は天然であった。
 大人であっても松陽は子供のような好奇心と探究心をもって事に当たり、だからこそ広く深く知識を吸収し、それを元に己の考えも組み立てることができた。それが故に、子供とも対等に接し、慕われるのだが、時々本気か冗談が判断のつかないことを言うのが玉に瑕と彼の教え子は全体一致で思っている。
「あれ、だから昨日先生お酒飲んだのか?アルコールで服用って書いてあるんだけど」
 派手に飾られた箱から説明書のような紙を取り出し、前半の記号じみた文字の翻訳文を読み上げた銀時が思い返すように天を仰ぐが、高杉は別の意味で天を仰ぎたくなった。大体楽しいからはいい歳をした大人が真顔で出す理由ではないと思う。
「それにしても天人の薬なんて大丈夫なんですか?」
 畳のい草を指で撫でながら訊ねる。真っ当な理由を求めることなどもうどうでもいいが、何より安全第一であると建設現場で掲げられる表題よろしく、高杉はそれが気がかりだった。
「ほとんどの種族には副作用もないと聞きますから、私が試してみるのもいいでしょう?」
「でもわざわざ先生が安全性を確かめなくてもいいじゃないですか。大体天人と幕府は緊迫した関係にあるからそのうち何をしでかすか分からないですよ」
 何か陰謀があったらどうするんですかとやや咎めるような口調になったのは桂で、もちろん高杉も銀時も、そして誰よりも松陽は天人を駆除せんと各地の侍の蜂起を聞き及んでいた。敵同士の諍いに仁義も何もあったものではない。暗殺など頻繁に起こることであるし、今更それが背徳的であるだのなんだの咎められる人もいなかった。

 誰とて同じ穴の狢なのだ、要は。

「小太郎。天人は私達のまだよく知らない人達で、でもただそれだけなんですよ。例えば全く知らない、どこから来たのかも分からない人が突然、あなたの家に押しかけたらあなたはどうしますか?」
「それは…不審者なので怖いけど、でも侵入してそれでその人が無体を働いたら押し出します」
 少し間を開けてから桂が答える。
 松陽は堅い表情で応じる桂と真剣に聞く高杉、そして畳に突っ伏してはいるが恐らく耳は傾けているであろう銀時を順に見比べ、その三者三様の具合に可笑しくなった。この様な話題を幼子の姿の自分が説いていて、それを少しばかり歳が上でしかし随分と老成して見える教え子たちが聞き入っていると思うと、なんと歪んだ光景であろうかと、とうとう笑いがせき止められなくなる。何笑ってんの先生と銀時が眠たそうに顔を上げて口を尖らせれば松陽は未だに笑いを含んだまま続けますねと謝った。
「さっきの場合は私達の反応です。底の知れない者たちであるから怖いが、立ち去って欲しい。だから力が叶わなくとも奮起します。では反対に、目を瞑って適当に歩いてたどり着いた家に入れと言われたら…うーん、じゃあ晋助。そのまま丸腰で入りますか?」
「変な人だったら危ないし、いつでも迎え撃てるように、何かは用意して…あ、だから天人は武装して江戸に乗り上げたんですね!」
 高杉の眉間の皺が取れて、年相応の無垢な笑みが浮かぶ。蒸し暑い外気が幾重にも隔たれ、鳴き続ける蝉も葉の立てる音も近づいてくる入道雲も一本道に立つ土煙も淀んだ空気も吊るされた風鈴もまるでそれら全ては遠い世界で起こっているような錯覚を起こす。
 それだけその場はおよその子供の会話とはかけ離れていて、そして忘れてはならないのが松陽は寺子屋に通うのも早いような幼子の体で服も合っていないのである。
「私達にとって彼らは異星人で、でも彼らにしたら私達も得体のしれない人種なんです。恐怖は誰にも備わっていることです。だから警戒をする」
 銀時があくびをする。一瞬にして空気が緩んだ。脱力を誘うようなものではなく、甘い砂糖菓子の匂いに包まれるような、母の腕に抱かれ眠るような、そんな心地よい緩さだ。それにつられたのか松陽も目を擦った。やはり袖が長い。
「やっぱりこの姿は子供なんですね。まだ少し話が続くのですがそれが終わったら皆で昼寝しましょうか」
 ふにゃりと破顔一笑した松陽はもうそれは例えるなら天使でしかなかった。それに己の顔が崩れそうになるのを高杉は慌てて正し、桂を見れば彼もまた表情が不自然に歪んでいて、銀時に至っては肩を震わせているのだからお互い様だと再び松陽に視線を戻した。
 毒を以て毒を制すという言葉、知ってますか。いえ…天人は決して毒ではないのですが…。苦笑を交えながら続ける。五つにも満たぬだろう姿でありながら目には今や落ちぶれていくこの国では見ることも稀になった光を孕んでいた。
 例えば侍の在り方という目に見えないものを死守し続けてきた人間にしか理解することのない信念があるように、その人間が考えたこともないものを現実にする技術と想像力をまだよく知らぬ異星の人々は持っている。例えそれが敵対する者の生み出したものであっても、良いものは始終良いのだ。それを否定している間にはあまりにも脆い刃だけを手にする人間に勝機はない。刀一本では何もできないのだ。それを否定してどうする。相手の技術を使い自分のものにしそれを用いて相手との妥協点を見つけ、対等の立場を築く。手に取れるものは奪えるが心の奥にしか存在しない想いを乗っ取られることなどありはしないのだ。なくすものは何もない。それなのにこの国は何を忌諱しようか、何を恐れようか。

 ほけーとただ自分を見つめる教え子を眺め、少し早すぎましたね、松陽は再び背伸びをし、内容を整理しようとする高杉と桂の頭を撫でた。くしゃくしゃと髪が乱れるのがくすぐったい。
「先生、眠い」
 銀時の紅い瞳は潤っていて、今にも寝入ってしまいそうだ。
「すみませんねぇ銀時。それじゃあ昼寝しましょうか」
 何より私も目蓋が閉じそうです、と本音を零しつつ、うつらうつらと船を漕ぎ始める銀時の傍で松陽は横になった。

 さわさわと音が鳴る。それは蝉の鳴き声で、木の葉が掠れたものであって、風鈴であって、そのうちどれか、または全てが織り成す音である。
「松陽先生…寝たの?」
 高杉が囁くが反応は既にない。
 やっぱりこどもだなぁ、と自分のことを棚に上げて手を伸ばせば届く松陽の頭を撫でてみた。
「あ、高杉ばっかしずりー」
 のそのそ銀時が反対側から近寄り、負けじと彼も松陽の頭に恐る恐る手を置く。猫か犬を撫でるような慎重な手付きでゆっくりと流れる砂色の髪に触れた。自分がされているかのように目を細める。
「俺さー、大人になったら糖分王になってすっげー美人なお嫁さん貰って、それから子供が寝てる時にこうしてさ、ずっと傍にいて眺めるのがいいよな。な、高杉」
 指に松陽の髪を絡ませながらあやす銀時に高杉は思わず目を見張った。いつからこんなにも優しい光をたえることができたのだ、この感情というものも知らなかった目は。彼が子に望むことの全ては大概のこどもが当たり前のように一身に注がれるものであり、しかし彼は受けることが叶わなかった最も渇望する肉親の愛である。その変化が高杉には嬉しくもあり、同時に酷く悔しかった。
「俺に振るな。そこでこっちに背ぇ向けながら感涙してる母ちゃん気取りの奴に聞いてやれ」
「うぅ…ぐずっ…お前も成長、ヒクッ…したのね…銀時…!」
 手拭いを振って嘯く桂にどこまでも冷え切った視線が送られる。
「ヅラぐずるな読みにくいだろ。というか、先生んちの畳汚すな」
「汚してないわ!それにヅラじゃない、桂(母)だ!」
「うぜーよ括弧がうぜーよ」
 それとなく高杉が幼児化する薬の箱を手繰り寄せた。説明書の最後に何故かあるハートがウザい。なんというか、ウザいの他に言い表す言葉がない。しかしそれは無視を決め込み読み進めていく。
「…おい、ちょっと待て銀時」
「いや俺は何もしてないけど」
 なんで先生も髪の毛が細いのに真っ直ぐなんだよと小声で愚痴る銀時に先生は昨日の夜に飲んだんだよな、と問うた。そうだけど。それがなに、返答が返り、そして確か効き目が切れるまで48時間だということを再び確認する。
「って先生明日授業どうするつもりなんだよ!」
 声を抑えながらも高杉は焦りを露わにする。まさかこの状態で教壇に上がるのではあるまい。
「高杉うるせーっ!」
「お前がうるせーよ」
 小声で突きあうさながら桂を窺えば、ふむと顎に指を滑らせていた。
「先生もわざとだろう。高杉、明日お前の父上のカメラとやらを持ってこい」
「指図すんじゃねーよ。つーか、なんでだよ」
 嫌悪を示す高杉に銀時があれだろ、前に撮った写真、と塾生全員と松陽の映る写真の飾られた箪笥を指す。
「先生、この姿で皆と写真撮りてーだけだろ」
 一人の幼児を囲む少年少女たち。シュールな光景を想像して高杉は咳き込んだ。
 いや、まじでか。そうみたいだぞ。だってお前、
「肩震わせてなんとか笑い堪えようとしてんじゃねーか」
 誰ともなく一斉に松陽の寝顔に振り返った。だったらさっきの話筒抜けか?というか先生起きてたんならなんとか言ってください!先生俺お母さんですよねそーいうポジションですよね!口々に騒ぐ子供達に松陽はわざとらしく目をこすりながら起き上がった。寝起きがこれまた幼児の可愛さというのを体現して高杉は今日カメラを持ってこなかったことを本当に悔やんだのはまた別の話で。
「いいえ私熟睡してましたよ。もう銀時がなんでそんなに可愛いんですかとか小太郎がもう立派なお母さんになったとか晋助が日々しっかりしていくのが嬉しいとかそんなのちっとも聞いてませんから」
 わずかに水を打ったように沈黙が訪れ、そして再び騒がしくなる。サイズの大きい浴衣を引きずり桂が乱れた髪を結い、ぽかぽかと銀時に背中を叩かれながら松陽は満足した笑みを浮かべた。
 彼らの季節は永遠であり一瞬であり、しかし確実にそれは過ぎていった。


 




2012・7/26


――――――
楊様に捧げます。
「村塾3人と何故か中身は変わらず中身だけ小さくなった松陽先生」とのリクエストでした。
ご希望に添えたでしょうか。
とてもオイシイ設定で…!
困り果てる村塾三人も妄想したのですがあまりにも長くなりそうなので割愛。
これも十分長いという最もな意見もありますが。←
土佐の知人は坂本の父という裏設定があったりなかったり。
リクエストありがとうございました!





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