txt | ナノ

優しさを感じたあの町から引っ越して、どのくらいの時間が経ったのだろうか。私は今カントー地方にいるというのに、心はまだホウエン地方のミシロタウンひいる気分。時計が指す時刻は午後8時。ほらまたミシロタウンにいるきみと会えるよ。受話器を手にし、繋がった先に聞こえたのは気だるい声。そんな、あからさまに、嫌そうな態度、取らなくてもいいじゃん。


「こんばんは、ユウキ君」
「…」
「何か怒ってる?」
「お前いつもかけすぎなんだよ」


毎日のようにこの時間に電話をかけていると、ユウキ君はめんどくさくなってくるらしい。私はそんな気全然感じないのに。きっとそれは私がユウキ君のことすごく好きだからだと思う。でも結局文句を言いながら電話に出てくれるユウキ君もユウキ君だよね。そういう優しさがすごく好き。


「好き好き恥ずかしい。やめろ」
「だって好きなんだよ?正直に言っただけだって」
「…明日俺この時間無理だから」
「はーい」


明日この時間は用事があるとかなんとか。ちゃんと教えてくれるところも、すごく好き。長電話なんだから、そろそろ切るよ、とユウキくんが言うとき、もう一度「好きだよ」と伝えた。くすぐったくて温かくて、飽きずに伝えられる自分に飽きれもするけどもらえたありがとうという言葉が嬉しくて嬉しくて、きっと明日にはいつもの私に戻れている。


好きで、好きで、あぁどうしようもない



企画;you...提出


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -