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最近名前ずっとボーっとしてるよね。本当に大丈夫?まさか人から何考えてるか分からないとよく言われるレッドに、心配された。しかも頭大丈夫って。そんな風には言ってないよ、とレッドは訂正するけど、私にはやっぱりそういう風に聞こえてしまうんだ。だけどすぐ笑って大丈夫だよ、と返しておく。無理してない?何か、隠してない?ってレッドは聞いてきてくれるけど、本当に大丈夫。そもそも私といつも一緒にいるんなら私がどれだけ健康児だってこと分かってるはず。いつもちゃんと10時に寝て、6時に起きてシロガネ山を散歩しているんだから。寒い中でも最近では上着一枚で耐えられるようになってきた。流石にレッドの半袖一枚まではいかないけど、結構たくましくなった方でしょう?だから心配なんて要らないんだよ。だけどレッドはただ哀しそうな顔をして、私の頬を叩いた。乾いた音だけが響き、だけどすぐに抱き寄せられる。どうして君が哀しそうな顔をするの?泣きそうになってるの?笑ってよ、レッド。人から無表情とか何とか言われてるけどさ、そんなの無視して、レッドの笑った顔見せてよ。レッドって元から顔いいから、きっと笑ったらもっとカッコよくなると思うの。ねぇお願いお願い、お願いだから。レッド泣かないで。笑ってよ、じゃないと私が悲しくなってくるの。泣きなくなってくるんだよ。レッドはいつも私に言うじゃん。名前は笑った顔が一番いいよ、って。私だって同じだよ。そりゃ、レッドの悲しそうな顔も、切なそうな顔も、儚い表情も、少し黒い微笑みも、全部好き。だけど、やっぱり一番は笑った顔だと思うの。不意にこぼれてしまった涙は全部、私を追いつめたレッドのせいだ。レッドが笑ってくれないから。泣きそうに、悲しそうな顔するからいけないんだよ。泣かないって決めたのに、挫けないって決めたのに、全部レッドのせいだよ。最後の最期まで、笑っていさせてくれるってレッドが言ったから、私は無理を承知でシロガネ山まで来たのに。もういいよ。笑ってくれないなら笑ってくれないで。その代わり、好きって言って。私のこと、好きだよって。誰よりも好きだよって。誰よりも大切だよって。どうせもうすぐ消えてしまうんだから、その間だけは嘘でもいい。その言葉を私に下さい。レッドはもっと悲しそうな顔をすると、私を抱き寄せた。好き、の代わりに抱擁を。愛してる、の代わりに――キスをひとつ。ありがとうレッド。私今すっごく幸せだなぁ。


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