小説 | ナノ




いっつも威張ってばかりで、自分のことが大好きで、でも、時々優しくて、後輩達のことをよく見てくれる。

俺とは一つしか歳が違わないのに、その背中はすごく、届かないくらい、大きかった。

1年、2年・・・、時を重ねていくごとに、俺はあなたに恋をした。

だから、あなたと同じ場所に立ちたくて、必死で足掻いて・・・、伸ばした手は、あなたに届くことがなかったけれど。

あなたと会う、最後の日。

後輩二人が泣いて滝夜叉丸先輩にしがみついていた。

なんだかんだいいながらも

「仕方がないな・・・。」

と、二人を撫でて、涙を拭いてあげていた。

俺からも何か言わないといけないのに、言葉が出ない。


涙がぽろぽろ出る。

「三之助。」

泣くな・・・

そう言って俺を抱きしめる先輩、止めどなくでる涙。

初めてあったときから、つい昨日のことまで走馬燈のように思い出す。

俺は、初めてあったときからこの人に恋をしていたんだ。

初めてで最後の恋・・・。

この人に想いは伝えない、だってきっと振られてしまうから。

それだったら想いを伝えずに自分の中に秘めていた方がずっといい。




下手な恋よりずっといい



そう、そのはずなんだ・・・。


FIN



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