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三学年上だった三木衛門先輩。

とてもやさしいひとだった。
とてもきれいなひとだった。

三年という年月は、僕が憧れという枠では括れない想いを抱くのに十分すぎる程だった。

そんな先輩を見送ってから二年とちょっと。
一目で憧れとなった紫は既に通り越して、今は最上級生の証である松葉を身に纏っている。

授業、実習、委員会と、様々な経験を毎年変わっていく衣に積み重ねてきた。
出来ることなら経験したくないようなことまで。

僕らの学年でも負の感情に潰されて学園を去る者が多くなった頃、いつだか血塗れの先輩が見せた涙の意味が理解出来るようになった。

ただ、残念なことに僕のその感情は死んでしまったのだけれど。


やさしい先輩は今でも痛みに耐えながら戦場を駆けているのだろうか。
先輩は望んではいないのかもしれないが、僕はその存命を願わずにはいられない。
いつかこの松葉が黒になり、先輩の元に辿り着けるその日まで。

きっと幸せになんて出来ないけれど、せめて先輩の苦痛を終わらせるのが僕でありますように。



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