深い海の底に、沈没 | ナノ


 01






「……よかったじゃないか。仲直り、できたんだろう?」


『はい、本当にありがとうございました』





部屋に戻ってきたおつるに、セラはそう言って頭を下げた。





「フフフッ、フッフッフ!もういいじゃねェか、セラ。暇なんだろ?どこか行こうぜ」



頭を下げるセラの横で、ドフラミンゴはそう言った。先ほどまでとは一変して、本来の調子を取り戻したドフラミンゴは、セラの太ももを撫でていて。






「……まったく……さっきはあんなにしおらしくしていたのに、もうすっかり元通りだねぇ」

「フフフッ!おれにはセラがいればもう十分なんでね」




可笑しそうに笑いながら、ドフラミンゴはセラの腰を引き寄せて言った。


きゃ、と小さく悲鳴を上げたセラに、おつるは内心驚きながらも、自分のありのままの姿を見せることができる存在が、セラにできたことに安心していた。

『ドフラミンゴ……!』

「フッフッフ、どうした?」



分かってやっているな、これは。そうセラは思いながらため息をつくものの、ドフラミンゴとの関係を取り戻せたことに安堵していて。






「ドフラミンゴ、そろそろ離してやりな。セラにも仕事があるんだよ」

「あン?別に今日くらいいいだろ、おつるさんよォ」


「あんたは良くても、こっちの仕事が終わらなくて困るんだよ」





ほら、さっさとしな。

そうおつるが言うと、若干の感謝を感じているためなのか、ドフラミンゴは逆らうことをせずに素直にセラを離した。





『何か新しい仕事でもありましたか?』



セラがそう尋ねると、おつるはぺらり、と一枚の紙を差し出した。



「ついさっき来た仕事なんだけどねぇ。ちょっと面倒かもしれないけれど、頼んでもいいかい?」

『ええ、もちろんです。それでは……スモーカーと、この仕事を?』


「すまないね。あいつは相変わらず外にばかり目を向けているから、なかなか事務的な仕事をしてくれなくてね。引きずってでもこの仕事だけはやらせてやっておくれ」






おつるのこの言葉に、セラは内心小さく笑いながら頷いた。





『スモーカーは相変わらずのようですね』

「まあ、実力があることは分かるんだけどねぇ…」





そんな会話をしていると、今まで黙って聞いていたドフラミンゴが口を挟んできた。












「フフフッ、なあおつるさんよ、そのスモーカーってのは男か?」




笑っているのか笑っていないのか分らないような不敵な笑みを浮かべながらそう言ったドフラミンゴに若干の嫌な予感を感じながらも、おつるは頷いた。







「そうさ。セラとスモーカーは仲が良くてね。セラの言うことならばある程度は聞くだろうから、たまにこうやってスモーカーと一緒に事務の仕事をやるように頼んでいるんだよ」




そのおつるの言葉を聞くと、ドフラミンゴはセラの手に持っている書類を取り上げた。






『ドフラミンゴ、何をするのですか?』

「なあ、おつるさん」






フッフッフ、と笑いながらドフラミンゴはその書類を破り捨てた。








「セラはおれのなんだ。他の男と仕事をさせるのやめてくれねェか?」










(よそ見なんてさせねェ、)
(お前はおれのものだろ?)









end.
2012/2/26
 



≪|≫

back
×