深い海の底に、沈没 | ナノ


 01






「あー、疲れた。ねぇセラちゃん。外回り行ってきてもいい?」


『駄目です、青雉殿。まだ仕事は山ほど残っていますから。……お一人でこの山を終わらせれるならば構いませんが』



「ごめん、嘘だよセラちゃん。立ち上がらないで、おれを一人残して行こうとしないでよ」











クザンのその言葉に、セラはため息をこっそりとつきながら、再びクザンを見張ることができるよう、斜め前に向かい合うように設置された椅子に座った。












――どうしてこんなことになっているかと言うと、おつるとセラが一緒にお茶を飲んでいた時からはじまる。








おつると歓談していたところ、現れたのはセンゴク元帥。



仕事から逃亡したクザンを捕まえたのだが、一緒に仕事をしながら見張る人間が欲しくておつるに相談に来たことを告げた。


そこで推薦されたのが、おつるの目の前に座ってお茶を飲んでいたセラだった、ということである。









「そういえば、前にもセラちゃんがおれの仕事を手伝ってくれたこと、あるよね?あの時はホントに助かったよ。危うくサカズキに殺されるところだったからさぁ」



『……そうですか』




それはよかったです、と言いながら、手元にある資料に目を通すセラ。セラ自身の仕事はすでに終わっており、一向に量の減らないクザンの仕事を手伝っているのだが、とにかく量が多い。なおかつ期限が迫っているものがほとんどであるのだ。







「ねぇ、セラちゃん。おれの部下にならない?」


『……、』

「んー、それじゃあドフラミンゴなんてやめておれにしとかない?」

「……遠慮させていただきます」





何にせよ、能力があるのに働かないクザンに呆れたセラは、自分だけでも働いてサカズキの雷が落ちないように、と黙々と仕事を進めた。





「ねぇ、聞いてる?セラちゃん」


『聞いています』


「相変わらず冷めてるねェ…」









まぁ、そこがいいんだけどね、と言いながら嫌そうに書類を一枚つまみ上げたクザン。ため息をつきながらも書類に向かいはじめたところを見ると、一応やる気をだしはじめたようだった。












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