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は?何だこれ
………つか、誰だこいつ!?
「あー…面倒くせーことになってきた……」
そう言って奴はカップめんのスープを啜る。うまっ、庶民的だけど……、ふざけんなよ、俺のカップめんだぞ。
「誰だ、てめぇは?
人ん家で何平然と飯くってんだよ!」
俺は近くの竹刀を手に、一発叩き込もうと振りかぶる。
だが奴は身軽な動きで、俺の一撃を避けた。猫かコイツ。元剣道部の名折れだろ、俺。
「何しやがるっ!いきなり攻撃とか……向き合えねーな!」
指を差しながら仁王立ちで言う。向き合うってなんだ?
俺はもう一発叩き込もうと振りかぶる。だが、奴が床に散りばめていたチラシに足をとられた。
「……っ!?」
カーテンを思わず引っ張るが、転ばない訳がなく、尻餅をつく。
「いっ…てぇな……」
にゃー
は?さっき男がいた場所には、赤茶の猫。俺はルークを抱き上げる。
「ルーク?何でお前…………まさか」
シャッとカーテンを閉めれば
「なっにしやがるっ!!
俺は日光とは向き合えねぇーつぅの!!」
「うおっと……、やっぱりか」
腕の中にいたルークは、さっきの緋色の髪をした男になった。
腕の中でじたばたを暴れるコイツに、一発拳骨をぶち込む。
「いってぇな!何だよてめぇ!!」
「誰だよ」
キーキー怒るルーク(仮)を無視して、話を進める。もう放してたぞ。男通し抱き合ってるってキモくね?絵面的に(←
「俺は……心優しい吸血鬼様だ!」
「………」
日陰で仁王立ちのコイツの首根っこを掴み引っ張る。
「よしわかった。窓から捨ててやるよ」
「んなっ!?
止めろ!俺は吸血鬼だぞ、日光は止めろ!!
死ぬだろうが!不老不死だが死ぬっつぅの!」
人間はなんつぅ残酷な生き物だ…っ、と言う奴にもう一発拳骨をお見舞いした。
「で、なんだ?
吸血鬼なら、俺の血でも飲むのか?」
奴が通り魔の吸血鬼ならそうだろうが、まったくそう見えない。
「はぁ?そんな面倒くせーこと、誰がするかよ。
てめぇ、自意識過剰なんじゃねぇの?」
「襲わねぇのかよ、どうなんだ吸血鬼として」
「簡単に言うな、犯罪だぞ?
それより喉乾いたぁ、茶くれ」
「ふざけんなよ」
結局、奴は夜しか活動できない為夜に出て行くことになった。
俺カラオケあんだけど。
「言っとくが、人の時に名前呼ぶなよ」
「名前?………俺は見ず知らずの野郎の名前なんか知らねぇよ。
猫だと思ったから“ルーク”って……」
すると、俺の右手から鋭い金色の光がほとばしった。そして、ルークの首にもはしって、キィンッ…と音を立てて消えた。
「お、お前……バカだろギャンッ!?」
「誰がバカだ、何だ今の」
ルークが頭を抑えて転げ回る。
結局わかるのは……
「俺とお前、気が合わねぇ」
「奇遇だな!俺もだよっ!?」