prolog
――――ユーリ・ローウェル 15歳
学校の帰り道、人が行き交う。
その人の足元にぐったりとした猫が弱々しく鳴いていた。
にゃー……にゃー……と鳴く猫に気づく様子もなく、人は道を闊歩し歩く。
面倒な事は嫌いだ。シンプルにわかりやすい事が好きだ。
だから……猫を拾った。
胸に猫を抱きかかえ、家に連れ帰る。勿論、体を洗う事を忘れない。泥が落ち、黒だと思っていた体は、赤茶色の毛をしていた。
何もしないで後悔するのは、一番面倒だから。
「綺麗な色してんだな」
にゃー…と返事をするように鳴く。
飼うと決めたものの、名前がないと不便だ。パッと思いつかないもんだな。黒猫ならクロとかでいいけど。
俺は部屋を見渡すと、数日前家にきたアルヴィンが忘れていったチェスが見えた。コロリと転がっているルークのコマ。そして俺は……
「名前は…ルーク」
そう名付けた。
そのペットを飼うのは命懸けだってことを、俺が知るのはその翌日の事………。
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