くぅぅぅ……
お腹がなった。モモンの実を食べれなかったせいか、空腹感に襲われる。
しかし、目の前に広がるのはジャングル。木の実も植物も見たことないものばかりだし、ポケモンも見当たらない。
これから僕はどうすれば良いのだろう。
「兄さーん…、姉さーん…」
ブイー…ブイー…ブイー…
不安の余り呼んでみたが、風が木々を揺らす音の中に虚しく響くだけだった。
くぅぅぅ…
空腹感は空気を読まずにまた鳴った。
何か口に入れたいが、木の実の位置は高すぎるし、食べれるかも解らない。
物知りなピジョットなら、何かわかるかもしれないのに………。
そんなことを考えて、地面に再び座りこんだ。俯いて、流れそうな涙を必死にこらえる。
ああ…、僕はどうなるんだろう。
バッサバッサ
僕は長い耳をピクリと震わせた。さっきのは、鳥ポケモンが羽ばたく音だ!
もしかしたら、ピジョットかも知れない!
僕を探しに来てくれたのかも知れない!
そんな思いで、僕は必死に走った。足がもつれそうになりながらも必死に。
□■□■□■□■□■□
そこに居たのは、ピジョットではなかった。
大きな嘴をもった鳥ポケモン(?)だったのだ。その鳥は、僕をジッと見つめているが、ハッキリいって怖い。
嘴が大きすぎる、僕なんか一溜まりもないだろう。
それに見たこともない。
ここはやっぱり、僕の知らない地方なのかも…。
「あ、あの……こんにちは」
僕は勇気を出し話しかける。兄さん達は言っていた。男は度胸!
「僕、道に迷ってしまって……。道を教えてくれませんか」
鳥ポケモンは首を傾げるように、首をあちらこちらに向ける。
言葉が通じているのかすら謎だ。
鳥ポケモンはスッと目の前に降りてきた。もしかしたら、話が通じた!?
「あ、あの…」
既に僕らは嘴と顔がくっつきそうで、鳥ポケモンはジッと僕から視線を外さない。
僕も動けず、少々困った状態だ。
「道を…」
ギャァァアアァアア!
鳥ポケモンはいきなり頭を振り上げ、大きな鳴き声を上げた。耳が痛い。
そして、すぐに嘴を僕に振り下ろしてきた。
「あぶなっ!?」
かわしはしたものの、その場所を見れば、軽くひび割れた地面。一歩遅かったら僕が……。考えるとゾッとした。
ギャア!
鳥ポケモンのさっきの声で仲間が集まってきていた。
ヤバい、どうする。流石に僕1匹じゃ太刀打ちできない。
鳥ポケモン達が一斉に飛び上がった。
そして、今度は急降下する。
もうダメだと目を瞑った。
「やめろ」
人の………、声がした。
ソッと目を開け見えたのは、赤い髪に白い布。僕は身体から力が抜けて、意識を手放した。
危機一髪
(なんだ、コイツ)
(取り敢えず)
(連れてくか……)