ポケ×マギ | ナノ




こんにちは、ボクはイーブイ。
トキワの森の奥の奥に住んでいたイーブイで、8匹兄弟の末っ子なんだ。
ついさっきまで、リーフィア姉さんとブースター兄さんがじゃれあう声をBGMに、トキワの森で“かいきにっしょく”を見ていたのに、なんでこんなジャングルにいるんだろう。


周りを見回しても、見たことない植物や動物ばかりで、ポケモンらしきものはいない。
一緒にいた兄さん達も消えてしまった。










□■□■□■□■□■□



数分前。



「あっはは〜!こっちよブースター。相変わらずノロマねぇ」
「うっさい!リーフィアまちやがれ!」


嫌よ〜Wwなんて、尻尾を振りながらリーフィア姉さんは言う。
もう、相変わらず仲悪いなぁ。
いや、喧嘩するほど仲がいい、かな?


「こらっ、はしたないぞリーフィア。美しくない」
「グレイシア兄さんは相変わらずね。美の追求なんて」


冷静なグレイシア兄さんにシャワーズ姉さん。
この二人はクールでかっこいい。ボクも、こんな大人になりたい。決して、ブースター兄さん達みたいにはならないぞ!


「どうでもいいじゃん、そんなことはさぁ〜。それより、ブラッキーご飯食べた〜い」
「もう、サンダースは食いしん坊ね。まだ早いわよ」
「エーフィの言う通りだ」
「けち〜」


バトル以外のんびりやのサンダース兄さん。いっつも優しいエーフィ姉さん。寡黙なブラッキー兄さん。
流石に安定してるね。ブレがないや。


こんな日常を壊したのは、あの黒い太陽だ。


「エーフィ姉さん、今日森のみんなが言ってたんだ。
今日は黒い太陽が、太陽を食べちゃう日なんだって!」


ボクが、エーフィ姉さんに飛びつきいえば、エーフィ姉さんはフフッと笑った。


「マジで〜?太陽って食べれたの〜」
「サンダースまで……、今日は皆既日食よ。月が太陽と重なって、黒い太陽に見えるの」
「な〜んだ。太陽食べれないのか〜」

つまんなーいの〜、というとサンダース兄さんは、丸くなって寝息をたて始めた。
かいきにっしょくって言うのか、面白そうだ。


「姉さん、いつ太陽が真っ黒になるの?」


エーフィ姉さんは、少し悩むそぶりをし、もう少しよ。と言って笑った。


なるほどね。もう少しなら、木の実でも食べていよう。
ホウエンからピジョットが持って帰ってきたモモンの実が、植えたものがもう実っている筈だ。


ボクは、モモンの実を運んだ。
いつものようにピジョットに手伝って貰った。
皆さんご存知の、ポケモンマスターを目指す少年のピジョットだ。

「ありがとう、ピジョット」
「いや、これぐらいならお安いご用だよ」


そう言って飛び去っていった。
僕と彼はもう相棒的仲で、毎日一緒に散歩をする。
高い所は大好きだ。


みんなのもとに戻れば、ブラッキー兄さんやエーフィ姉さんは、空を見上げていた。



「そろそろかしらね、ブラッキー」
「だな」


二人は僕の存在に気づくと、エーフィ姉さんが手招きした。



「イーブイ、もうすぐよ。
こちらにきて、一緒に食べましょう」


僕はモモンの実を引っ張って行き、空を見上げた。
段々と黒い円が太陽に近づいて、白い太陽を少しずつ、喰らうような覆い隠していく。

完全に太陽がのまれた。

そう、ここだよ、ここ!
かいきにっしょくになって、気づいたら……。









□■□■□■□■□■□



「ここについてたんだよね」


兄さーん、姉さーん。
心細いよー、ボクを一人にしないでおくれよ。


ぼっちなう。


(くぅぅうう)
(モモンの実、食べたい)








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