そう頷く君は、何を見てるの [ 43/90 ]
「くっ……!」
「おそい…」
少年はサレの攻撃をゆらりとかわしながら、的確に技を当てようとしていく。
が、流石はサレというか、武器を使って受け流していた。
「凄い……」
シング君がそう呟いたのを聞いて、私は立ち上がった。
ぼーっとしてる場合じゃないよ。私だって、戦えるんだから……!
「ファイアボール!」
少年との戦いに集中していたせいか、私の攻撃はサレに初めて当たった。
「やった…!」
「き、さまぁああッ!」
が、サレは血走った目を私に向けて走ってきた。やば……!
「――よそみ、してるばあい?」
そう言った少年の声は、何故か上から聞こえた。
先程まで少年がいた場所を見ると、砂埃がたっているだけだった。
「ぐぁあ…ッ」
サレが叫んだ。
今までにない悲痛な声に驚きながら見ると、少年が身体を捻りながらサレを斬りつけていた。
サレを蹴るようにして、再び宙を舞い、回転しながら地に足をつけた。
まるで曲芸師のような動き……。
「もう、おわりにする?」
そう頷く君は
何をみているの。
(貴方は、本当に緋色…?)