恥ずかしがり屋の君
「はい」
「…え?」
僕の部屋を訪れるなりずっとそわそわと下を向いていた碇君は、ぱっと顔を上げると僕にいきなり紙袋を渡してきた。
「だから!…あの、さ…その…」
「くれるのかい?」
紙袋を僕に突き出したまま、また下を向いて口ごもる。
「今日…バレンタインだから…」
「…ばれん、たいん?」
「だからっ!!今日は好きな人にチョコをあげる日なんだよ!!」
訳がわからず首を傾げる僕に、碇君がもどかしそうに言った。
「渚には…なんだかんだ言って世話になってる、から…」
「つまり、碇君は僕のことが好きなのかい?」
「ち、違うよっ!!」
確認するように尋ねると、顔を真っ赤にして怒鳴った、けれどすぐにまた下を向いてもごもごと言い訳をする。
「…本当はどうなんだい?」
「…好き、じゃなかったらあげないよ−−っちょ、渚!?」
「嬉しいよ、ありがとう…<シンジ>君」
碇君の言葉を聞くなり、僕は彼を抱きしめた。碇君の熱が、鼓動が、全て伝わる。
「べ、別に…き、気に入ってもらえたならよかったよ……<カヲル>」
「じゃあ、一緒に食べようか」
「…うん」
あわよくば、どうかこの時間が永遠に続きますように−
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2013年度のバレンタイン企画で上げたもの。結構これしかかけなかったとです。計画性のなさがうかがえる。
久しぶりに読んだんだが何だかこっ恥ずかしくて二回目とか読めないです。でもカヲシンは大好き。
しかし東屋は庵カヲシン派。