第二十話

外は厚い雲に覆われ、一雨きそうだった。

「shit・・・」

小さく舌打ちしながら、灰色の空を恨めしそうに見上げる。
最近の天気予報はアテにならねぇ、などとお決まりの文句を呟いていると、ポケットに入れている携帯が震えだした。
取り出した携帯の液晶を見ると、『元親』と表示されていた。
ふと昨日の寝顔を思い出しながら、通話ボタンを押した。

「Hello,どうした?」

相変わらずの曇り空を見上げながら右目の眼帯を触る。

『よぉ。政宗、元気してたか?』
「昨日会ったじゃねぇか、アホ。」
『おい、ヒデぇな!冗談だろうが。』
「アンタが言うと冗談に聞こえないから不思議だ。」
『お前・・・もっとお友達を大切にしろよ。まぁいいや。政宗、今から空いてるか?』
「Ah〜、少しなら大丈夫だ。どうした?」
『ホントかっ?!急で悪いんだが今から仕込みを手伝ってくれねぇか?』
「いいぜ。」
『マジ助かるっ!!急に手伝いが来られなくなってよぉ。』
「その代わりきっちり見返りはいただいていくぜ。」
『ああ。今日は政宗が好きそうなやつを仕入れてるから持っていきな!』
「OK.じゃあ今から行く。」
『お前、今大学か?』
「ああ。」
『じゃあ裏門で待ってろ。車で迎えに行く。』
「〜♪気が利くじゃねぇか。西海の。」
『雨が降りそうだからな。5分ぐらいで行く。』
「おう。じゃあ裏門でな。」
『ああ。』
政宗は携帯の終了ボタンを押し、携帯を元のポケットにしまう。
腕時計を見ると丁度17時を指していた。
今から元親の手伝いをしてからだと家に帰るのは20時ぐらいになるだろう。
心配そうに政宗の帰りを待っている幸村の姿が目に浮かんだ。

(アイツに「遅くなる」と連絡できねぇしなぁ。・・・でもガキじゃねぇんだし、大丈夫だろう。)

政宗はそう思い、裏門に向かった。



しばらくすると、黒塗りの四駆が時間通りに政宗の前で止まった。
ちょうどぽつぽつと雨が降り出した頃だった。
政宗は助手席のドアを開け、厳つい車に乗り込む。

「good timing.」
「おう。悪いな、急に呼び出して。」
「その分、今日の晩飯はしっかりいただいていくぜ。give and takeだ。」
「お前・・しっかりしてんな。いい嫁さんになるぜ。」

聞き捨てならない言葉に政宗は元親のニヤついた顔にパンチをくれてやった。

「イデッ!!」
「戯れ言はいいからさっさと車出しやがれ。」
「・・前言撤回、鬼嫁の間違いだ。」
「アアン?まだ言うか?手伝わねぇぞ。」
「俺が悪かった。ごめんなさい。」
「分かりゃいいんだよ。・・ったく。さっさと終わらせるぞ。」
「おうよ!」

元親は雨脚が強くなった中を勢いよく車を発進させた。

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