ラットとアクミ
「痛っ……」
アクミが手料理を作ると言い出し、俺は大人しくリビングで待っていることにした。
しかしアクミがキッチンにこもって数分アクミの声が聞こえた。
「どうした?」
気になってキッチンを覗くと野菜を切っていたらしいアクミの姿。
その指からは血が流れていた。
「ちょっと切っただけだから平気だって」
「リビング言って待ってろ。絆創膏持ってくる」
クローゼットに置いている救急箱を取り出し、ガーゼで止血をする。
「大丈夫だって」
「大丈夫じゃない。ほらこれで終わり」
絆創膏をアクミの指に張る。
怪我をしたアクミの指をふと見た。
細長く、手も色白い。
綺麗な手だ。
「あ、あのー……ラット?」
「え?あ、ああ悪い」
ふと我に返り、アクミの手を慌てて離した。
「えっと、じゃあアタイも料理しに戻るから」
「待て。やっぱり不安だから俺も手伝う」