「あ、それ新発売の飴じゃない!」
放課後空き教室で飴を舐めているとパピィが不機嫌な様子で話しかけてきた。
提出物を職員室に提出した帰りらしい。
「なんでムルモが先に食べてるわけ!?あたしそれ買いたかったのにー!」
発売して一日しかたってないが、品切れの為かパピィは買えなかったらしい。
「ああ。近所のスーパー行ったら一袋だけあったんですよ。」
「ムカつくー!…ねっ。一つだけちょうだい?」
怒った様子だったが、パピィはコロッと態度を変えた。
「あぁ。これ一袋小さめで量が少ないんです。
残念ですけど僕が食べてるので最後です」
「ちえっ…。じゃああたしも買いに行くから」
パピィは急いで鞄を手にした。
「パピィこっち向いてください」
「何?」
ムルモの言葉に素直に振り返ると二人の唇が重なった。
舌と同時にイチゴの味をした甘い小さな塊がパピィの咥内に入ってくる。
キス…口移しをされていることにパピィはすぐ理解できなかった。
理解できたのはムルモが唇を離してから。
「どう?美味しいですか?」
パピィは顔を耳まで真っ赤に染めて「馬鹿ムルモ!」と叫ぶと、ムルモの脚を踏んだ。
そのまま鞄を持って走りながら教室を出ていった。
「この飴美味しいですね…。また買ってみますか」
-END‐