※パピィがムルモの家でメイドとして働いてるパロ




朝食の準備を終えると時計は七時を指していた。
「ムルモ様…朝食の準備ができています」
ドアをノックしてムルモを起こす。
「おきてますよ。すぐ行きます」
パピィが起こしに行く頃にはムルモは既に目覚めていることが多かった。
起きている事を確認すると、パピィも他の仕事をするため戻った。


「さて、今日はムルモ様の部屋の掃除をしなきゃ」
朝食を終えて、パピィは掃除道具を手にしてムルモの部屋へと向かった。
「あ、パピィ。僕はちょっと出かけてきます。一時間ぐらいで戻りますね。」
「はい。お気をつけて。」
パピィは頭を下げてムルモを見送った。

「さて、お掃除しなきゃ」
窓を拭いていると、小さいころ一緒に部屋で遊んでいた事を思い出す。

まだ子どもの頃は二人で遊んでいた。
学校を卒業したとき、ムルモから家でメイドとして働くよう誘いを受けた。
あの日から「幼なじみ」から「主人とメイド」の関係になった。
働き始めて三ヶ月。ようやく「ムルモ様」と呼ぶのに慣れてきた。




「戻りました」
「お、おかえりなさい。ムルモ様!」
「喉が渇いたからコーヒーをください。掃除が終わってからでいいですから」
「掃除は終わっていますので、すぐお持ちしますね」
掃除道具をすぐに片づけて、湯を沸かす。
「ああ、言い忘れてました。ケーキを買ってきましたからパピィも一緒にどうですか?」
「いいのですか…?喜んで」
二人でコーヒーとケーキの準備をして、リビングへと向かう。






働き始めて二人きりになるのは初めてで、沈黙が続く。
「パピィ、…ここの仕事にはなれましたか?」
「は、はい」
「パピィ。敬語はなしでいいですよ」
「で、でも…」
「二人きりの時は敬語なしといったでしょう」
ここで働き始めた初日。ムルモから命じられた約束だった。
「は…うん。慣れてきたわよ」
「それはよかった。まあ失敗はよくしてますけどね」
「なによそれ!」
思わずムルモに言い返そうとするが、ムルモは続けて言った。
「でも僕はこうしてパピィが来てくれて嬉しいですよ」
「ムルモは甘えんぼだからね!あたしがいないと寂しいでしょ?」
素直に「ありがとう」と言えず生意気に言ってしまう。
「そんなこと…」
「そんなことない」と言い返そうとしたが図星だった。
「…まあ、そうかもしれませんね」
「う、まああたしも…そうかもしれないけど…」
小さい頃も喧嘩した後、どちらかが素直になったら自然と素直に言いたい事を言っていた。
「たまにはこうして一緒に飲みませんか?」
「寂しがり屋だからね…。あたしも息抜きとして付き合ってあげるわよ」
「はいはい。相変わらず素直じゃないですね」
「そっちもね。…じゃああたしも仕事に戻るから」
「失敗しないでくださいよ」


嬉しくて涙が出てきたのがばれない様急いでムルモに背を向け、キッチンへと向かった。




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