※ヤシチが大臣になってます。





「あーあ暇暇暇ー!」
「うっさい!暇だと言うならとっととその書類片づけろ!」
「だって面倒くさいし」
ミルモは机の上に置かれた書類の山を見ると溜息をついた。


 
ミルモが国王となって数年がたった。
「めんどくせーな」と言いながらも王として、たまにサボりつつも仕事を始めていった。
そしてヤシチは大臣として城に勤め始めた。
先代の王のマルモは「そうかそうか」と嬉しそうに認めてくれた。

「ほら、来週は妖精学校と幼稚園への訪問についての書類。
それからグルミ族との交流について…」
「そんなのリルムにでもやらせておけよ!」
「これはお主の仕事だろ」
文句を言いながらもミルモは書類に目を通す。




「それよりヤシチ」
「なんだ?」
「お前、なんで大臣になったんだよ」
「なんだいきなり」
「だってお前昔は俺を倒すーとか言ってただろ」
まだミルモが王になる前は何度もミルモに勝負を挑んでいた。
「なんで?」
「…ふん。大臣となればいつでもミルモを倒せるからな」
「げえ。恐ろしい大臣だこと」

ヤシチはふと人間界での事を思い出していた。
ミルモを追って人間界へ行き、元首領であるワルモ団の令を受けていた。
いつもパートナーである安純と時に楓とミルモを狙った。
そしてワルモ団と決別してからはミルモと強力してダアクを封印もした。
その後もミルモを倒す事は変わっていなかった。





「ほら終わったぞー…」
ミルモから書類を手渡された。
「お疲れ様」

「あーあ。やっと終わった」
ミルモは椅子にもたれかかった。
「そういや幼稚園へ訪問した後の予定は?」
ヤシチはポケットからスケジュール張を取り出し確認する。
「特にないな」
「よーし!じゃあたまには人間界へ遊びに行くか」
「はぁ!?」
「この間リルムと話し合ったんだよ」
「だからって…」
「よし、決定!ヤシチー働いて疲れたからチョコ持ってきてくれー」
「まだ拙者はいいと言ってないだろ!…まったく」

昔からそしてミルモは口ではめんどくさいと言いながらも、
楓たちの頼みを聞いたりと面倒見もよかった。
大臣になったのも心のどこかでミルモを認めている―――
そんな事を言ったら確実に笑われるだろうが。




「お主がこんな性格じゃなかったらここまでライバルと思わなかったかもな」
「なんだいきなり」
「さあな。アホのミルモにはわからんだろうな」
「うるせー!いいからチョコ持って来い!」
「拙者は大臣であってミルモのパシリではない!」

気が付くと手には楽器を構えていた。
「久々にやりあうか?」
「後で後悔しても知らないからな」




終わり
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