姫はじめ
「どうだこれー!」
インターホンが鳴り、ラットが玄関を開けるとアクミが自慢げに立っていた。
「…へえ晴れ着か」
「なんだよそのリアクション!それより初詣行くんだろ!」
ミルモから一日になった夜中、初詣に行こうとメールが入った。
リルムやヤシチも誘ったらしい。
「まだ約束の時間には早いな。部屋入ってろ」
「まあいいか寒かったし。おじゃましまーす」
アクミが部屋で休んでいる間ラットはコーヒーを準備した。
「その晴れ着どうしたんだよ」
「リルムがお正月だし晴れ着を着てみろって言ったからさー」
「へえ…。ほら、コーヒー」
アクミは受け取ったがその顔は不満そうだった。
「なんでそんなに不満そうなんだよ」
「別にー」
「別にって…」
「晴れ着」
アクミがぼそりと呟いた。
「感想言ってくれないし……ラットに見せたかったのに」
「…悪い。……似合ってる」
「嘘っぽい」
アクミはそっぽを向くが視線は天井へとかわる。
「ちょっ、いきなり何押し倒して…!」
ラットを押しのけようとするが腕を抑え込まれてしまった。
「姫はじめ知ってるか?」
「はぁ!?」
「新年最初に行う性行為だ」
「ちょっ、だからって今日しなくてもいいだろ!」
「無理。最近ヤってないだろ」
アクミの抵抗も虚しく、ラットはアクミの晴れ着を脱がしていく。
「――っ!わかったから…!でも晴れ着借りたものだから汚したくないんだよ…!」
晴れ着を一度脱がしハンガーにかけた後、ベッドへと移動した。
「…あんまり見るなよバカ」
「今年も素直じゃない口で」
そう言うと唇を重ねた。
薄く開かれた唇に舌を差し込んで歯列をなぞっていくとアクミもすぐにラットの舌と舐めていく。
「んっ…はぁ…」
一度唇を離すとアクミは、ぼーっとした表情でラットを見つめている。
「キスだけで感じたか?」
「ち、違っ…!そんなわけ……!」
アクミは慌てて否定するが、ラットの手は下着の上から秘部に触れる。
「やっ、あ…」
「さわってもないのに随分濡れてるけど?」
下着の隙間から指を滑り込ませ、体内へ侵入させる。
指を動かすと、くちゅくちゅと卑猥な水音が響く。
「あっ…!ふぁ……」
「身体の方が正直だな…」
ラットは指を増やしながらそう思った。
口にしてはアクミの機嫌が悪くなってしまう可能性も高い。
「挿れるぞ」
指を引き抜き、アクミの秘部にあてがった自身を進入させていく。
「んっ、あっ、はあ…」
アクミの腰を掴みゆっくりと動かす。
「んっ、あぁ…」
「おーいラットー!どうしたんだー」
その声にラットも一度動きを止めた。
インターホンを鳴らしつつ、ドアをたたく音と声。
「み、ミルモたちっ…?」
アクミは慌てて体を起こした。
「寝てるのではないのか?」
「アクミさんもきませんでしたからね」
ドアの外には心配してきたのかミルモたちが来ていた。
「声抑えてろ。すぐ帰るだろ…」
そう言うとラットは再びアクミの腰を掴み動かしていく。
「や、今…動かしたらっ…!」
「声抑えないとあいつらに聞こえるかもな」
アクミは自分の手を口元にあてがい声を殺した。
ラットも動きを止めるどころか、アクミの陰核を擦り始めた。
「っ…や、…ラット、ばれちゃ…う」
「アクミが声抑えてりゃばれないよ」
アクミは涙目になりながらも、声を我慢しようとするが小さな甘い声が漏れていく。
すぐに呼び鈴は鳴りやんだ。
ミルモたちは諦めて帰ったらしい。
「帰ったか…よく我慢したな」
「馬鹿!ばれると思ったじゃん!」
「耐えてるの見てたらついな」
「ついじゃ…な…!」
ラットも限界が近いのか、打ちつけるスピードが早まった。
「あ、あぁ…ああああ!」
きつい締めつけによりラットも自らの欲をアクミの中に吐き出した。
「最低!変態!馬鹿!」
「……はい」
行為後、二人でベッドに寝転がるがアクミはまだ怒っている。
「ばれたらどうするんだよ!」
「付き合ってるのもう知ってるだろ」
「そういう問題じゃなくて……!」
「ほら、明日こそ初詣に行くぞ」
翌日、アクミは痛む腰をこらえながらも初詣へと出かけていった。