ムルパピ

※成長ネタ


ミルモさんたちが結婚して数年。
あたしたちは今日は学校に来ていた。
学校生活も今年で終わりだから学校の方に行くことが多かった。


「おはようパピィちゃん〜」
「カメリおはよう」
ゆっくりと歩いているカメリに声をかけられた。
「今日のお泊り会楽しみだね〜」
「カメリの家に泊まるのも久々ね」
今日は学校が終わったらカメリの家に泊まる約束をしていた。
学校が終わったら、お泊りセットを持ってカメリの家に向かわなきゃ。
「あ、でもパピィちゃん〜今日って日直だったわよね〜」
「そうだった…」
「同じ日直の子って確か…」
カメリが心配そうに呟いていた。


「今日の日直はパピィくんと、ムルモくんじゃな」

数年前ならあたしにとっては嬉しかった事だった。
だけど今は気まずい事。

いつからかあたしがちょっかいを出してもムルモはあまり相手をすることはなかった。
それ以来あたしもムルモにちょっかいどころか話す事すらなくなった。


半分ぼんやりしながら授業を聞いていった。
授業も終わり、帰り支度をしたカメリが話しかけてくる。
「パピィちゃん、待ってようか?」
「平気、先に帰ってて大丈夫だから」
「そっか〜。じゃあ家で待ってる〜」
カメリはのんびりと帰っていった。


そして教室にはあたしとムルモが残された。
二人で掃き掃除を終える。あとは黒板を消して机をもとの位置に戻すだけ。
「パピィは黒板消しをお願いします。僕は机を運びますから」
「わ、わかった…」


消していくが、上の方は背伸びをしても届かなかった。
仕方がないので椅子を使おうと、自分の席に行こうとする。
「どうかしたんですか?」
「…黒板上の方消せないから椅子使おうと思ったの」
「ああ。なら僕が消しますよ」
ムルモはあたしから黒板消しを取ると背伸びをせずに消していく。

ムルモっていつの間にこんなに背が伸びたんだろう。
ちょっと前まであたしと変わらないくらいだったのに。
自分の方が背が高いって言ってた頃を思い出す。

「どうしたんですか…?」


気が付くとあたしは泣いていた。
『大丈夫』って言おうとしたけど、堪えきれずにあたしはボロボロと泣いていた。
「ちょ、ちょっと待ってください…」
慌ててムルモはポケットからハンカチを取り出して、あたしに手渡した。
「大丈夫ですか?どこか痛いんですか?」
泣きじゃくりながらもあたしは答えた。
「違うの…久しぶりに、ムルモとぉ…」
「僕?」
「ムルモと話せたから…ムルモずっと冷たいもん…」
泣きじゃくって上手く話せなかったけどムルモはちゃんと聞いてくれた。

「…僕が相手にしなかったことですか?」
「覚えてるの?」
「あの頃、クラスの男子から冷やかされたんですよ。『相変わらずパピィと仲いいし付き合っちまえ』って」
あたしとムルモが喧嘩していたのはクラス全員が知っていたと思う。
「僕もそういうの気にするし…ちょっとムキになってパピィの相手をしなくなったんです」
「あたしあの時ムルモに嫌われたって、ずっと思ってた…」
「昨日まで喧嘩してたのにちょっかい出してこない幼なじみがいない。
寂しいってずっと思ってました」
お互いにあの日以来ずっと同じ思いだったんだろう。
「…しかたないわね、ムルモはさびしがり屋だから」
「パピィですよそれは」
お互いに久しぶりにからかう。
可笑しくて、嬉しかった。
時計に目をやると一時間もたっている。
「大変、カメリと約束してるんだった」
「じゃあとっとと日直終わらせましょう。パピィには無理でしょうけど」
ムルモはあの頃の笑顔で笑ってくれた。


急いで机を運んであとは戸締りをするだけ。
「僕が返しておきますから、パピィはさっさと帰ってください」
「いいわよ、それくらいあたしが」
「またからかわれたくないだけですからね。
お礼なんて言わないでくださいよ、パピィには言われたくないです」
戸締りをするとムルモは職員室へと向かっていった。


「今日のお泊り会の話が一つ出来たわね」
あたしは下駄箱へと降りていった。



終わり

成長ムルパピ
意識して喧嘩しなくなるムルパピ書きたかった
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