不器用で分かりにくい優しさ
そこにはきっと、不器用でわかりにくい優しさがあるんだ。


不器用でわかりにくい優しさ


〜〜〜ッ!―――――!!
あ、また怒ってる。
何をやっているかなーあの人は。
大体、小さなことでガミガミ言い過ぎなのよ。あの人。
「くぉらっ!まーたそんなに怒って。般若の面を顔で作るつもりですか。」
「あぁ?何だよ、こいつが悪ぃんだ俺に文句を言うな。」
「何をしたのよ、この子が。」
「この原稿、字をミスってやがるんだよ。」
「…それだけ?」
「…悪いか。」
「そんなことで何言ってるのよ。怒るにしても限度ってものがあるじゃない。
 見なさいよ、すっかり怯えてるじゃないの。」
「知るかっ!」
そう言って、彼はスタスタと歩いて行ってしまった。
………逃げた。
「ごめんね、本当は優しいのよ?あの人。」
私は、苦笑しながら彼に怒られていた子に謝る。
「いえ、いいんです。わかってますから。」
その子もまた、苦笑しながら言った。
「本当に…不器用なんだから。」
「大体わかりにくすぎますよね。」
「そうそう、遠まわしすぎるのよ。」
「あぁ、いけない。こんなことをしていたらまた怒られる。」
「あら、ごめんなさい。それじゃ。」
「はい。」
「嫌わないであげてね?あの人のこと。」
「なりませんよ。あれはあれで面白いじゃないですか。」
「ふふ…そうね。」
不器用でわかりにくい優しさ。
でも、それは意外とわかりやすいのかもしれない。
きっと、私達が気づけないだけなんだ。
そう、きっと。



(それにしても…あなたなかなかいけるクチね。)
(あはは…お褒めに預かり光栄です。)


――――
title by 対を成す者









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