恋愛Beginner | ナノ


『……暇だな』


あれから数日経って今日は祝日。天気も暑くも寒くもない素晴らしい陽気だ。

なのにすることがなく家でゴロゴロしている。


「じゃあ俺と雑談でもしてみる?」


ああ、そういえば従兄弟が来てたんだっけ。

彼、幸村精市は神奈川に住んでいる私の従兄弟だ。なんでも、テニスがものすごく強い学校らしい。白石くんといい精市くんといいすごいな。
って、また白石くんかい。……あれ、なんか未練タラタラじゃんか、私。


「……渚?どうしたの?」

『え、もしかして意識とんでた?』

「百面相してた。」

『マジか。』

「何かあったでしょ?」

『まあ、ちょっとねー。』

「喧嘩したときは相手に自分の気持ちを素直に伝えるのが一番だよ。」


あれ、私何か言ったっけ。


「……渚の考えてることは大体わかるよ。」

『ふはっ、さすが。』

「伊達に従兄弟やってないよ。」


精市くんはいつもこうだ。何かあってもいつも私の味方でいてくれるし、励ましてくれる。

包容力があるというか……とにかく温かい。


『……そういえば精市くんもなんかあった?』

「あ、わかる?」

『うん、落ち着きないし。』

「実はね、好きだった子が転校生しちゃったんだ。」


マジですか。まさか精市くんから恋愛話を聞くとは思ってもみなかった。

ただ、私が白石くんにさせたような思いをしてほしくない。

まあ精市くんなら大丈夫だろうが。









 モドル