『で?話って何かな?』 あの後、河崎さんははしってどこかへ行ってしまった。 その後蔵ノ介から話がしたいと言われたので教室に戻ってきた。 「自分、俺と付き合った日のことおぼえとる?」 『うん』 忘れるはずがない。なんせ自分から告白したのだから。たしか、あの時もこんな夕焼けだった。 「実は俺、知ってたんや。」 『何を?』 「……自分が俺に付き合って、って言った原因」 ……それは由紀と颯奈との会話のことだろうか。 『……知ってたならなんで断らなかったの?』 「……渚を信じてたから」 『……』 「渚は簡単に好きとか言ったり人の気持ちを利用したりするような子やない、そんな無神経な子やないって思ってん。」 『それで?』 「だから俺と付き合うことで自分が間違ってるって気がついてほしかった。」 『……うん』 「せやけど気がついていくどころか自分、平気な顔してたやん。」 残念だけど自分がどんな顔してたのかなんてわからないよ。……なんて言ってる場合じゃないが。 「いつかきっと自分の間違いに気づいてくれるはず。……そう思ってたんやけど違ったみたいやな。」 あの聖書とよばれる彼でもこんなに悲しい表情をするのだ。それだけ私のしたことは彼を傷つけたのだろう。 「何か言いたいことは?」 あるよ、たくさん。だけど一番聞きたいのは 何故、私にそこまで望みをかけたのか しかし今の私には聞く資格はない。 何も言わないからこれ以上は時間の無駄と考えたのか歩き出した。 そしてすれ違い様にこう言われた。 「さいなら、川上さん」 何故かはわからないけど胸がとても強く締め付けられた。 → モドル |