今思えば、恐らく彼に抱いていたあの感情は恋だったのだろう。
ぼんやりと空を見上げながら彼のことを考える。容姿端麗、頭脳明晰。傲慢で自意識過剰なところはあるけれど、冗談も言える器用な男、そんなものか。彼といたのはものの数年だったけれど、長いようで短く、短いようで濃い時間だった。
それ程に、彼のことを私は今も考えている。
そう、彼が死んでしまった今でも。
「ああ、なんで死んじゃったの」
今更どうしようもない気持ちの行き先も、昇華の仕方もわからず私はぼんやり空を見上げる。死んだら人は星になると言うけれど、汚いことに手を染めてきた私たちが夜空で輝けるというのだろうか。
ずっと上を見上げていたら、星がぼやけてきた。
「……変なの」
ずっと昔、西の国では悪人は燃やされていたらしい。じゃあ、きっと、シャルナークも空で燃やされているのだろう。爛々と燃え上がる彼の体は輝いて、皆に見上げられる。笑うものもいれば美しいと思うものもいる。
「ああ、シャル、私ね」
ずっと言えなかったけれど、きっと、恐らく、私は彼が好きだったのだ。
言葉にならなかったそれは空に吸い込まれるように消えていく。すべてを飲み込む闇に、背負った罪で輝く彼がいた。
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