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怖 い 怖 い 怖 い

何が?ときかれれば、全部と答えるしかない。

自分が生きていることすら、怖くてたまらない時がある。























「ぁ、夕翡!」

「・ ・ ・ ・ ・ ・おまわりさーん、不審者です!」

「なっ!!」

「まったく。むっくんのポジティブさには恐れ入るよ」

「今日は、告白じゃありません。話です」



昨日振られたばかりだというのに、また学校に来るのだから。

夕翡は哀しいと何かが入り混じったような複雑な顔で骸を見ていた。


近づかないで

心が警報を発している。



「何?」

「納得行きません!!こんなカッコいい僕を振るなんて!」

「むっくんよりツナと恭君とベル様の方が好み」

「夕翡・・・・お願いします」

「私がむっくんを嫌いっていったら諦めてくれる?」

「嫌です。思うだけは自由・・・ですよね?」

「そうだね」



だったら、想えなくなるぐらい絶望させれば良い。

絶望して、失望して

お願いだから突き放して 嫌いだと言って離れて

じゃないと・・・



「いいよ。お話しようか」



にっこりと夕翡は笑って骸の手を引いた。

その笑い方が、嫌に奇妙で胸の中に渦巻く予感を骸は無視した。

ついた先は並中の屋上。誰も来ないから話しやすいと。



「夕翡。僕は夕翡のことが好きです。もちろん、恋愛感情です」

「知ってる。骸のそれは恋じゃない。ただ、初めて自分を受け入れてくれたのが私だから執着してるだけ」

「違います」

「そうだと言い切れるの?」

「直感的にです。とにかく、好きだと感じるんです」



骸は必死に夕翡を見て言ったが、夕翡は目をあわせてくれない。

それだけで、どうしてこんなに哀しくなるんだろう。どうしてこんなに胸が痛いんだろう。



「夕翡は血に染まった僕を好きだといってくれた。僕が殺しに初めて罪悪感を覚えた。全部夕翡と関わったからです。責任とって下さいよ」

「むちゃくちゃな。あのさ、私・・自分が大ッ嫌いなんだよ」

「?」

「だから、私を好きなんていうむっくんも嫌い。私は人に好かれて良い存在じゃないから」

「どうして、自分でそういいますか」

「だってそうだもん♪私は人を好きになんてなれない。こんなにも汚れた私が人に好きになってもらうなんて許されない。違うなぁ・・・、好きになんてなってもらいたくない」

「僕が夕翡が汚れてるなんて思いません」

「知らないもん。むっくんは何も。人なんて無知で脆弱で儚いもの。むっくんはさ、私がとっくの昔に処女を失ってるっていっでも好きだという?まぁ、私じゃないけど。しかも、処女を失うことに対してなんの躊躇いもなかった。体を売ってた」



骸の目が驚きで見開いた。

当然だ。突然夕翡がそんなことをいい出したのだから、驚かないはずがない。



「私の過去を話そうか。前世・・私が生まれる前」



そして、離れて。

お願いだから、これ以上近づかないで。


夕翡は自嘲・・・するような笑みを浮かべて完結に話した。



「私はお金持ちの娘だったんだよ。例えるなら・・・ボンゴレぐらい。けど、潰れた」

「は?」

「会社の倒産。借金地獄。両親は私を売ろうと考えた。臓器を売るよりも体を売ったほうが末永くお金が入る。だから売られた」

「ずいぶん・・・軽く言いますね」

「うん。軽く考えてた。その頃・・・12歳ぐらいかなぁ?とっくに裏小説も裏のBLも読んでたし書いてたから大体は分かってたしね。別に処女を失うのも他人とセックスするのも抵抗はなかったな〜」

「でもそれは・・・お金のために売られただけで。夕翡が汚れているとは思いません」

「12歳にしてセックスに対して抵抗も躊躇もなかった。他人とやることに何も。ひとっつも。それだよ」



自分で自分のことを汚れていると確信しているんだ。

それは、骸に言われようと・・誰にいわれようと変えられない。



「愛も恋も私にとっては嘘に過ぎない。だって誰とだって愛の行為であるはずのセックスが出来るんだもん」

「・・・・・・・っ」

「ま、お金は両親に渡すなんてしなかったしね。生活には十分困らなかった。お金が溜まったら大学に行って足を洗った。で、死んだ。これだけ」

「でも、それは夕翡じゃない」

「そう思いたいなら思えばいい。けど、私はそう思わない。その証拠に今だってヤろうと思えば誰とだって出来るから。骸とだって出来るよ?付き合いたいなら付き合ってもいい。けど、そこに愛はないから」



夕翡はバシリと言い放った。

昔のことを思い出したからか・・・目が冷たくなっている。

これでいいよね・・。

これで離れてくれる?



「分かりました。でも、僕はっ・・夕翡が・・どう思おうと・・夕翡が好きです!!」



今にも泣きそうなほど潤んだ目で、夕翡に叫んだ。

冷たく無表情・・・。夕翡が何を考えているのかは分からない。



「ばっかみたい」

「夕翡だって・・・人を好きになったことが・・あるなら・・分かりますよね?」

「ないよ」

「え?」

「人を好きになったことなんてない」

「で、でも・・・」

「誰がいつ人なんて言ったの?」



キョトンと夕翡は骸を見た。

骸もキョトンと首をかしげる。



「え゛。動物を恋愛対象にしたんで「んなわけあるか」だ・・だって・・」

「ツナ」

「は?」

「内緒だよ?沢田綱吉。私のお兄様。ま、正確には漫画の中の主人公だね」

「どういうこと・・・ですか・・??」

「ツナに聞いてみれば?同じことを2回説明したくないから。ただし私がツナを好きだったなんていわないように」



それだけ言うと、夕翡は屋上から飛び降りた。

骸は唯、呆然と・・・夕翡のいた場所を見ることしか出来ない。



なんにしてもそれは 禁断の恋だった・・・

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