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「炎が・・」

「消えてってる!!」

「もう少しだな!!」


どす黒い炎は、徐々に透明なものになっていた。

炎に・・浄化されているのかもしれない。

ツナは、ぎゅっと拳を握り締め、炎の中に飛び込んだ。


「なっ!!」

「10代目!!」

「ツナ!!」

「ボス・・・」

「綱吉・・・」



今・・・・いくから






















「暗っ・・」


中は、思ったより暑くも寒くもなく・・・真っ暗だった。

夕翡がどこにいるか分からない。

本当に真っ暗・・・・。


怖くて怖くて・・・不安になる。

逃げ出したい。今すぐに・・・


「どうして貴女はここにいるの?」

「!?」

「どうして、あの子を助けたいと望むの?ファミリーのために必要だから?」


どうして?

そんなの決まってる・・・


「俺が・・・夕翡とずっと・・・一緒にいたいから」



それは、幻聴だったのかもしれない。

けれど、誰かが笑ったような気がした。

そして、目の前に座りこんでいる夕翡がいた。

ツナは慌てかけよる。



「夕翡!!」

「ツナ・・・・・」

「よかった・・・。本当に・・・よかった」



涙が零れているけど、気にしない。

本当によかった。無事で・・・生きていて。ツナは夕翡をきつく抱きしめていた。

・・・・・温かい、



「私は・・・一緒に・・いて・・・いいの?」

「は?」

「だって・・・私は・・・」

「いいに決まってるだろ!?夕翡は俺の大切な妹なんだから!!」



こんな私でも、大切だって言ってくれる?

弱いし、酷いことしか言ってないし、苛めるし、腐女子だし、いいところなんて何もないように思える。

それでも、一緒にいて欲しいと、思ってくれる?



「うっ・・・うわぁぁああああああんんーー!!」

「俺は・・・夕翡が好きだから・・大事だから」

「ヒック・・・私・・怖かったっぁ・・苦しくてヒック・・ずっと・・ずっと・・・」

「夕翡・・・」



時々、思うの。

私は、一緒にいていいのかって・・・

ツナは、本当に私を好きなのかって・・・不安になる。



「ツナァ・・・ツナ、ツナ・・ヒック」

「うん・・・泣いてよ・・」

「うわあぁぁああああんっ!!」



私の弱さを受け入れてくれるの?

こんな私を好きだと言ってくれるの?


ツナだけは、信じたい。

損も得も、何もなしに。ただ純粋に、私が傍にいて欲しいと思ってくれるって・・・



「ありがと・・う・・」



炎は消えた。

急に目に光が入りこみ、ツナは眩しさに目を細める。

と、一斉にみんながかけよってきた。




正「白蘭さん、そろそろ」

「うん」





「夕翡・・・よかった・・」

「たくっ!10代目に迷惑かけてんじゃねぇよ!!(半涙目」

「ほんとに・・・よかったな」

「まったく・・。人騒がせもいい加減にしてくれない?」

「アハハ・・・。辛辣な言葉だこと」


今はまだ・・・怖いから。

心を隠して、付き合わなきゃ・・。

それでも、きっといつの間にか・・・大切になっているから。

それまでは・・



「ありがとう。。ね」



にっこりと、夕翡は笑った。

体が重い・・・眠ってしまいそうだけど、我慢しよう。



「本当に、よかったよ」



バッ

全員が振り向き、白蘭を睨みつけた。

さっきまでは忘れていたが、こいつは敵なのだ。

だが、白蘭はそんな視線を気にすることなく夕翡に近づく。

ツナは力強く夕翡を抱きしめた。



「そろそろ時間なんだ。バイバイ夕翡ちゃん、また会おうね」


チュッ



「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」



頬に・・・やわらかい感触・・・

眠気なんて、一瞬で吹き飛んだ。



「なっ!!」


ボゥン



煙が、目の前に充満する。

殴りかかろうと思ったときには、そこに白蘭はいなくて・・・・



「ここ・・」



そこは、10年前の世界だった。



「何で??」



わけが分からない と誰もが首をかしげいている。

それは、もしかしたら貴女もかもしれない。

その謎が解けるのは、もう少し後の話になるだろう。


ただ、最後に見た白蘭の微笑みは

とても優しいものだった。


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