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「あの・・・咲希ちゃん。ちょっといいかな?」

「はい。」



雲雀さんは群れを咬み殺しにいっていない。

応接室には私と咲希ちゃんだけ。

咲希ちゃんは書類を書いていた手を止め、私を見た。



「毎日、雲雀さんと・・・どんな話してるの?

「え・・・。」

「雲雀さんはどんな風に咲希ちゃんに接してる?」

「そ、う・・・ですね。仕事の話以外はほとんどしていません。時々、軽い休憩の時にお茶をいれたり・・・。」



咲希ちゃんはことなげもなしに答えた。

その言葉を聞いて自然と安心してしまう。



「じゃぁ、咲希ちゃんが雲雀さんを好き?」

「え!?ないですよ!そんな!!
確かに雲雀先輩は顔が綺麗で強くてかっこよくて憧れてはいます。でも、恋とは全然違いますし・・・。」

「そっか。」

「愛歌先輩と雲雀先輩、付き合ってるんですよね?とってもお似合いだと思います!」



ニコッと尊敬の混じった笑みを返され、チクリと胸が痛んだ。

こんないい後輩を疑うなんて・・・。



「愛歌先輩?」

「うん?」

「私が雲雀先輩と一緒にいるから・・・不快な気分にさせたんですよね。すいません。」

「そんな謝らなくても。」

「あの、愛歌先輩が嫌なら、私風紀委員止めます!」

「え?」

「私一人だけ女子なので、余計愛歌先輩を不快にさせていたと思いますし・・・。」

「そんな!気にしなくていいよ。咲希ちゃんは唯一雑務が出来て、雲雀さんも必要としているし。むしろ風紀委員としてこれからも頑張って欲しいわ。」



・・・嘘をついた。

本当は嫌なくせに、止めて欲しいくせに。

プライドが邪魔していえなかった。

咲希ちゃんが驚いたようだったけど、すぐに笑って



「はいっ!」



返事をした。

笑顔で答える彼女が憎くてしょうがなかったのに、私は微笑んでいた。



(愛歌先輩、本当に雲雀先輩が好きなんだな。)

((不安にさせないように、少し距離を置かないと。))


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