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タッタッタッタ
広い廊下をかける一人の少女、いや女性だろうか。
返り血を浴びながらも、彼女は綺麗だった。
「お呼びですか、9代目ー!」
そう言いながら、彼女は豪華そうな扉を開けた。
中には、温厚そうな老人が一人と作業現場のおじさんといった服装の男性が一人。
「家光さんも。お久しぶりです」
「よっ、美人になったな〜」
「ありがとうございます」
家光の言葉に照れるでもなく、笑みを返す。
そんな様子を、にこやかに見ていた9代目だが、ふっと顔は真剣なものになった。
「任務をたのみたい。帰ってきたばかりで悪いがね・・・」
「いえ、9代目の頼みなら!」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「家光さんがいるということは・・・・ボンゴレ10代目でしょうか?」
鈴は探るような目で家光を見ていた。
ボンゴレ10代目。
ザンザスを倒し、正式にボンゴレ10代目をマフィア界で認められた男。
だが、だからこそ彼を狙うやからが増えてきている。
これは見逃せない事態だった。
「そうだ。ツナを、ボンゴレ10代目を護衛してもらいたい」
「護衛。何故私が?守護者がいるのでしょう?」
「君が一番適任だと思ってね。守護者たちの審査もかねて欲しい。彼らはいくつもの戦いを切り抜けてきたとはいえ子供だからな」
「・・・分かりました。けれど」
鈴の目に迷いが宿った。
9代目と家光は即座にそれを汲み取ったようで
「もちろん、家は10代目・・・綱吉君とは別だ。学校にいる間だけでいい」
「・・・ありがとうございます」
「悪いな」
「いえ、もう・・・過ぎたことですから」
まるで自分に言い聞かせるようにそう呟いて、鈴は部屋を出た。
さぁ、行こうか
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