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(・・・にしても、なんだろうなぁ・・あの雰囲気)




誰かを苛めているようにも見えなかった。

とても明るく和気藹々としている。

肩透かしもいいところだ。


そんなことを考えながら、咲希は寮に向かっていた。

どうやら、ほとんどが寮生活をしていないらしく自宅に帰っていく。

道を半分ほどきたとき、後ろから声をかけられた。




「咲希ちゃん!」

「え?あれ・・京子ちゃん?」

「よかった。はぁ・はぁ・・」

「大丈夫??家に帰ったんじゃ・・・」

「ううん。私は寮だから・・・。あの・・咲希ちゃんって・・おねえちゃんとかいる?




突然の質問に、咲希は動揺を隠し切れなかった。

今日1日見て、京子は明るくて朗らかで、いい子だった。

だからこそ、言っていいのか考えてしまうが・・・あれが演技だと言うことも十分に考えられる。




「ううん。いないよ」

「え・・ぁ、そっか!」




咲希が笑って返すと、京子は少なからずほっとしたようだった。

どうしてそんな顔をするのか・・

疑われない程度に聞いてみる。




「何で?」



え・・・えっと・・・・」

「?」

「・・・・ごめん。言えないの」

「私に姉がいると・・・なにかあるの?」

「・・・そういうわけじゃないけど・・・その・・・」

「ぁ、言いにくいなら言わなくてもいいよ?」

「っ・・・ごめんね。でも・・気をつけて

「え?」

「今は・・これしか「京子ちゃん?」っ!・・・ツナ君」




微かに京子の方が震えたのは気のせいじゃない。

いまも、笑ってはいるけれど・・・強張っている。

咲希は内心疑いながらも、ツナに笑いかけた。




「咲希ちゃんも。どうしたの、こんなところで」

「話してて。こんなところって・・・寮に行く道こっちじゃ・・」

「えっ!?確かにこっちもだけど・・・もう1つあるんだよ?そっちのほうが近いし安全だからみんなそっちを使ってるし」

「え゛」

「ここを通ってた生徒が前に痴漢にあって、もっと明るい道を作ったんだ」

「へ・・へぇー(くそ!!G先生の馬鹿やロー!!)」

「先生に言われなかったんだ・・・」

「うん・・・。酷いね・・・」




京子は、相変わらず顔色が悪かった。

ツナは普通どおりに笑っているし、どうしてなのか分からず・・・咲希は内心首を傾げる。




「そういえばさ、咲希ちゃんってどこの会社の子の?」

「え?」

ツ「だってこの学校、そういうコネがなきゃ入れないでしょ?俺は学園長の甥だし」

「あっ!あーぁ・・・」




咲希は言葉に詰まった。

さすがに、もうすでにない会社の名前を出すわけにもいかない。

ジョットの甥だから、ジョットの親類なんて言ったら怪しまれるのは当たり前だし・・・




「(ぴーん!) アッ、アラウディ先生って知ってる?」

「う、うん。初等部の先生だよね?彼の甥が俺の先輩なんだ」

「(げっ、マジで?でもいまさら引き返せない)そっ、その先生の・・・婚約者なの!!













しーんっとした沈黙が流れた。



(やばい・・・はずした?)



変わらぬ顔のまま、咲希を凝視している2人。

と言うより、固まってるのだろう。

いつの間にか、足が止まり・・・3人ともその場に突っ立っている。




「えっ・・・本気で?

「アラウディ先生って・・・ロリコンだったんだね!!」

「(ぁ、)そう??恋に年の差なんて関係ないよ!!」

ツ「そうだけど・・・」

「超ラブラブなんだから!!だから、少しでも近くにいたくてここに入ったの!!」

「じゃぁ、一般人なの?」

「うん・・・」




何とかごまかせただろうかと、咲希が2人を見ると、苦笑しているが疑っている風ではなかった。

内心ほっとしつつ、3人はまた歩き出す。

あとで、謝らなきゃな〜と考えつつ、咲希たちは寮に向かった。



(でも嘘はついてないよね・・・)

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