《背中》
明らかにおかしいこの状況。どう考えても、立場が逆としか考えられない
「無理だって」
「無理じゃねぇよ」
「いや、だって‥」
現在進行形で、床に片膝をついたミラーマンが。タクシーの事を背中に乗せようと必死になっている
どうしてそんな事になったかと言うと、タクシーが何気なく口にした
お前って力ないよな
の、言葉に。変な所で負けず嫌いのミラーマンが、そんな事はない。俺だって、お前の事くらい持ち上げられるんだと言い返したのが始まりだ
「もう諦めたらどうだ?」
「誰が‥っ、」
ぐぐっと、足に精一杯の力を込めて。非力なミラーマンが、タクシーの体を持ち上げたその瞬間
「うわぁ!?」
「おわっ!?」
やはり力が足りなかったらしいミラーマンによる、タクシーの背負い投げが見事に決まり
勢い余って、そのままミラーマンも一緒に倒れた
(いってぇな!)
(ミラー‥それ、俺の台詞)