[ デイダラ×サソリ/死んだ後のお話 ]







ふわふわする。

靄がかかったような白い意識の中で、俺は目覚めた。

名前はデイダラ。暁に所属している、S級犯罪者。

俺はたしか...、さっきまでうちはサスケと戦っていて俺の芸術を完成させて...



「完成じゃねえだろ。あれは自爆って言うんだよ、自爆」



耳に懐かしい声が入る。

ぼやけた視界が段々と鮮明になっていく。

目の前にいたのは、旦那。



「っ、旦那?!何で此処に、死んだはずじゃなかったのか、うん?!」



驚いて目を見開く。

目の前にいるのは確かにあの赤砂のサソリで。

呆れたように盛大な溜息を一つ吐いた旦那はめんどくさそうに口を開いた。



「お前、覚えてねえのか?死んだんだよ、俺もお前も」



死んだ...?



「...此処は、死後の世界って事なのか、うん」



「そう。案外あっさり受け入れるんだな」



意外そうにそう言う旦那をじろりと睨み返す。



「それより、俺の芸術を自爆自爆言うな!」



「あれはどう見ても自爆だろ?」



クックッと喉の奥を鳴らして笑う旦那。



「旦那だって、あんな弱点丸出しの格好してたから死んだんだろ?あれはマヌケって言うんだよ!うん!」



負けじと言い返すと、旦那はヒクヒクと顔の筋肉をひくつかせる。どうやらかなり根に持っているらしい。



「うるせえ!あれは俺の芸術だからいいんだよ!」



「全然理に適ってねえよ!うん!」





ぎゃんぎゃんと二人でお互いの芸術について反論し合う事20分。





「...疲れた」



旦那がぽつりと弱音を零す。



「...そういえば、此処じゃ旦那は生身なんだな」



ああ、と今更気付いた様な声をあげる旦那は、自嘲気味に呟いた。



「...傀儡になれなかった人間が、まさか死んで人間に戻るなんてな...。笑えねえ」



目を伏せてそう言った旦那が、何だかひどく小さく見えた。

急に旦那を抱きしめたい衝動に駆られて、相手を抱きしめた。

驚いた様に身体を震わせた旦那がすごく愛おしい。



「...会えて嬉しかった、旦那」



耳元でそう囁くと、旦那の頬が紅潮する。

その些細な感情の変化さえも嬉しく感じる。

旦那は不貞腐れた様に顔を横に背けた。



「...過去形かよ」



やっとの思いでそう言った旦那。



デイダラはふとある事に気付く。

生前、身体を傀儡へと改造していたサソリにとって、表情など無縁なもの。

デイダラは頬を紅潮させるサソリを初めて見たのだ。

デイダラは更に嬉しくなって、腕の中にいる愛しい人とのこれからの生活を思い浮かべながら、静かに目を閉じた。





行き場を無くした魂はさざめき歌う

( ずっと、傍にいてくれるよな )





Title Thanx...阿吽 様




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