[ A←マキナ視点/FF零式 ]





 0組のクラスメイトは、マキナが今まで出会ってきた人物とはまったく違う人達だった。彼らは精神的にも肉体的にも強くて、ドクターアリシアという一人の人物のために、朱いマントを翻してまっすぐ進んでゆく。この世界は死者の記憶を持たない世界で、マキナにも家族が必ず存在していて、彼らのように家族を想っていたのかもしれない。しかし、マキナにはその記憶は存在しない。マキナの中に在るのは、同じ『クナギリ』という姓を持つ兄の名前が存在していたという、書類の文面だけであった。彼らのように、自分に唯一残ったレムを守りたい。守るための強さが、守るための直向きさが、欲しかった。





 個性的な0組のクラスメイトの中でも、席が近いエースは初対面でその外見に魅せられてしまった。色素の薄い金色の髪に、宝石のように輝くサファイアの瞳。マキナもエースも男でありながら、マキナはエースの事をただ純粋に綺麗だと思った。取っつき難そうな外見ではあったが、いざ話してみると親しみやすく、一緒に裏庭のベンチで特に会話をするでもなくウトウトしている時間が一番好きであった。何故か分からないが、気の遠くなるぐらいずっと前から同じ時間を共有しているような、そんな気がしてならなかった。





 焦りを感じ始めたのは皇国軍へ潜入した時だった。レムの調子が明らかにおかしいのに、クラスメイトのみんなは先に進む。一人より、全員を気にして。それは、戦場で仲間が倒れていく中、その死体を踏み越えていく朱い背中に似ていた。彼らは強い。強いが故に、一人の事に構っていられないのだ。マキナは憤慨した。みんなと、エースと、言い合いをした。自分でも何が何だか分からなくなった。





マキナは気付いていた。自分はエースが好きなのだと。兄を殺したのはエースではないことも。心のどこかで、マキナはエースとずっと一緒にいたいと思っていた。だが、それではレムは守れない。マキナの中にたった一つ残った、家族と等しい存在。忘れたくない、ずっと心の中に留めておきたい。その為には、力が必要だった。好きな人の傍にいれて、家族を守るルシの力が。





As he is regarded as darling, the fear which loses you becomes larger.

( 彼を愛しいと思えば思うほど、あなたを失うのが怖くなるの )







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