[ ザックス×クラウド/CCFF7 ]





まずザックスが感じたのはヘリの音。それから、目の前の大勢の兵士がガチャガチャと銃を構える金属音だった。恐れはない。悔いもない。迷いもない。だが、ザックスにはたった一つだけ、どうしても叶って欲しい願いがあった。





銃声が聴こえた。身体に突き刺さる衝撃を堪えながら、敬愛する先輩の形見を握る手にさらに力を込める。身の丈ほどもある大剣を振り回し、襲いかかって来るかつての仲間を斬る。





そういえば、己の人生は何か意味があったのだろうか。ザックスは自問自答しながら目の前の兵士の頭を大剣でふっ飛ばす。神羅に所属し、人一倍強い正義感で魔物を、人を蹴散らし、敬愛する先輩を失い、神羅に裏切られ、最後はこのような有様だ。此処まで孤独に突っ走ってまで、己は英雄になりたかったのだろうか。否、孤独ではなかった。己には、あの金髪の少年がいた。栗色の綺麗な髪の、あの少女がいた。結論に達すると、ザックスは口元に笑みを浮かべた。





膝に力が入らない。ザックスは自身の膝に視線を移すと、銃弾が何発も撃ち込まれてガクガクと震えていた。それでも。膝がもげようが、腕がふっ飛ぼうが、ザックスには関係なかった。ザックス自身にも分からない。身体が完全に動かなくなるまで、ザックスは戦い続けるのだ。





視界がチカチカと暗くなっていく。ああ、もう一度会いたいなあ。ザックスはふと思い出した。自分とあの金髪の少年が閉じ込められていたあの屋敷での罪を。もう一度会いたい。その思いばかりがザックスの思考を埋めていく。ザックスは咆哮した。まるで獣のように。







孤独な戦場にて

( 脳裏によぎったあの金髪の少年が忘れられない )







Title Thanx...阿吽 様




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