[ 主人公×コウタ/主人公が俺様 ]







「タクマー!」



自動ドアが開く。

俺の名前を呼ぶ声。

ソファでくつろいでいた俺は、その声の主を見遣る。



「バガラリー一緒に観ようぜ!タクマ、何だかんだ言ってバガラリー観てくれなかったからなー。今度は逃がさないぞ」



そう言ってディスクを掲げて入って来たのはコウタ。何処か得意気である。



「...またバガラリーか。何がそんなに面白いんだ?」



うんざりした声色でそう言えば、コウタは不服そうに口をへの字に曲げる。



「タクマは何も分かってない。騙されたと思って一回観てみなって。いい機会だから」



そう言って、いつの間にかディスクをディスプレイに挿入したコウタが俺の隣に座る。

「今から観るやつはイサムが――」と、何やら説明を始めた。



俺はその説明を適当に聞き流す。案の定、コウタは「ねえ、聞いてんの?」とふくれっ面。

その様子に、俺はクスッと笑いを漏らす。



「なあ、コウタ」



「ん?何だよ」



未だに顔を顰めたままのコウタを、近くに寄る様に手招きする。

コウタは不思議そうに小さく首を傾げるも、俺の言うとおり近くに座る。

俺は、コウタの顔に手を伸ばし、頬に手を添え、そして耳元まで自分の口元を持って行き、囁くように言った。



「...俺とバガラリー、どっちが好きなわけ?」



すると、コウタは耳まで真っ赤にして。



「なっ...っ」



その反応が可愛くて。もっといじってやりたくなる。



「選べよ。今から俺と寝るか、バガラリー観るか」



「っ、バッカじゃねえのっ..」



そう言って顔を逸らす。

だが、その抵抗は逆に俺を煽る。

相手の頬に添えたままの手で此方を向かせれば、唇と唇が触れるか触れないかのところまで顔を近づける。

「どっち?」ともう一度そう問うと、コウタはもじもじしながら顔を突き出して唇を重ねた。

触れるだけのキスをして唇を離せば、コウタは俺に抱きついて顔を隠してぼそっと一言。



「...タクマ」



その一言が嬉しくて、もっと聴きたくなって。

コウタの背中に手を回して、相手を優しく抱き締める。



「何?よく聴こえなかった。もう一回言って?」



少し意地悪をしてやると、コウタは「もう、」と不満そうな声を漏らす。



「だから、...タクマの方が、いい」



最後の方になるにつれて声が小さくなる。

俺は思わずふ、と笑いを漏らす。

腕の中のコウタはそれに反応して、不満そうに俺を見上げる。



「ほんと、可愛い事言うんだな」



「っ、...馬鹿」



恥ずかしがるコウタに口付ける。

相手の口内へ舌を侵入させれば、相手の身体が小さく震える。

そのまま歯列をなぞってやって、舌と舌を絡める。

ちゅ、とリップ音をたてながら唇を離せば、目の前の恋人は縋るように俺の服を掴む。



「っ、はぁ、...タクマァ、」



「...可愛い」



そのままソファに押し倒す。

少しだけ涙目で此方を見つめるコウタを見て、俺は自分の唇を舐めた。





甘い選択

( 頼むからこれ以上煽らせないでくれ )

















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