[ リンドウ×主人公/シリアス ]







「っ、リンドウさっ...」



目の前には、大好きな第一部隊のリーダー。

夢中で口付けを交わしては、その名前を呼ぶ。



「リンドウさんっ、..リンドウさん」



何度も、何度も相手の名前を呼ぶ。

そうしないと、何処かに行ってしまいそうで。

俺が名前を呼ぶ度、リンドウさんは目を細めて俺の頭を撫でる。



「...泣く事ないだろ?ほら、」



リンドウさんは苦笑しながらそう言っては、優しく俺の涙を拭う。

その時、俺は初めて泣いている事に気付いた。



「..っ、リンドウさんっ。..っすき、....何処にも、行かないで」



嗚咽を漏らしながら、やっとの事でそう言うと相手は優しく微笑んで。



「...タクマ。俺がどっかに行くと思ったか?...大丈夫、俺は此処にいる」



そう言って、俺をそっと抱き締める。

リンドウさんの匂い。俺、今リンドウさんの腕の中にいる。

そう思うと安心して、何故か涙が止まらなくて。



ふと、リンドウさんの手が伸びてきて顔に触れる。

無理矢理上を向かされ、唇を重ねる。

更には舌まで絡め取られて、深くて長いキスをする。



「ふ、..んぅ、....んっ」



唇の隙間から唾液が滴る。酸欠で頭がボーっとする。

唇が融けそうになるほど気持ちの良いキス。気付けば相手の舌に夢中で舌を絡ませていた。



そして、名残惜しげに唇が離れる。



「...っ、リンドウさん..」



相手の胸に自分の顔を押し付けながら、肩を上下させて呼吸する。

そろそろミッションの準備をしなければいけない。

今回は初めてのヴァジュラ討伐のミッション。しかもリンドウさんはメンバーには入っていない。

不安はある。このままリンドウさんに会えなくなってしまうかもしれないと考えてしまう。

おそらく、リンドウさんには自分の考えている事が分かっているだろう。だからこうして、自分を抱き締めてくれている。



「...そろそろ、行くか」



遠慮がちに、息を吐き出しながらリンドウさんが言う。

いつまでも愚図っていてはいけない。

リンドウさんから離れようとすると、不意に唇が重ねられた。

先程のキスより優しく、短いキスだった。

そして、再び抱き締められる。



「必ず、生きて帰れ。....これは命令だ」



リンドウさんが、耳元で囁くように言った。







その後、俺たちはそれぞれミッションに向かった。

同じエリアに二つの部隊が遭遇という異例の事態。

そして、第一部隊のリーダーであった少尉、雨宮リンドウは建物の中にアラガミと一緒に閉じ込められ、行方不明となった。









それが最後ならば

( せめて、ありがとうが言いたかった )















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