[ 勝呂×廉造/夜這い ]







近くにいるのに、遠く感じる。





「...坊」





小声で、相手の名前を呟く。



だがその声は相手には届かない。



規則正しい寝息をたてる坊は小さく胸を上下に動かしているだけで。



普段は見れないその寝顔を見つめながら、俺は坊の頬に触れる。









俺が坊を幼馴染とは思えなくなってしまったのは、随分前からだ。



坊は、不器用だけど優しくて、それでいて強くて。俺の憧れだった。



いつしか、その憧れが好きという感情に変化していったのかもしれない。



相手は男。女好きの俺にはいつも言い聞かせていたが、無駄だった。



俺は坊が好き。誰よりも、何よりも。



強くて、それでいて脆いその大きな背中を、俺は守りたい。



だから、祓魔塾で祓魔師になると決意した。







だが、それは反対に俺自身を傷つけていった。



こんなに想っているのに、報われない。気づいてもらえない。



坊は、俺の事をどう思っているのだろうか。



きっと坊は、俺の事をただの幼馴染としか見えていないだろう。



坊に触れたい。キスしたい。キス以上の事をしたい。愛されたい。



坊に、愛されたい。







日に日に増すこの抑えきれない想いは、きっといつか溢れ出て来るだろう。



そしてその時、もうこの関係には戻れないのだろう。



そうなるよりは、この辛い気持ちを押し殺して無知な笑顔を見ていた方が何倍も良い。







だから、今日もまた坊の唇に俺の唇を重ねるのだ。







誰よりも近くて遠い距離

( 怖かったんや 俺が拒絶されんのが )















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