超能力 | ナノ
竜ヶ峰帝人&園原杏里
放課後。
帝人はいつものごとく三人で帰ろうと思い、杏里と二人で正臣が来るのを待っていた。
――遅い。
いつもは鐘が鳴ると真っ先に飛んでくる正臣だが、今日はなぜかまだこの教室に来ていない。
迎えに行こうかと扉に手をかけた瞬間、廊下からドタバタと足音が聞こえてきた。
慌てて扉から手を離す帝人。その帝人の予想通り、廊下を走っていた少年、正臣がこの教室に入ってきたのだ。
…一人の少女を連れて。
「よ、悪いな帝人、遅れて」
「いや、べつにいいけど…その子は?」
やはり人間というものは見慣れないものに興味があるらしい。
いつも正臣が連れていない女の子が彼の後ろにいる。
…また、ナンパした子だろうか、とある程度の予想は立てることはできるが、やはり聞かないことには始まらないし、勝手に判断するのは彼女に悪い。
「あぁ…今日俺のクラスに転校してきた子」
正臣は有紗に向かってウインクをする。おそらく、自己紹介をしろということなのだろう。ということは、この二人は正臣の友達か…。
「小見川有紗です。よろしく」
軽く会釈をすると帝人は“あぁ…どうも”と言って軽く頭を下げた。
もう一人の少女はなにも喋ることはなかったが、帝人同様に小さく頭を下げた。
「じゃあ有紗のために俺が紹介してやろう。こいつが竜ヶ峰帝人、んでこっちが園原杏里」
正臣から紹介を受けると、二人は再び軽く頭を下げた。
「さて…じゃあお互いをよく知るために……合コンに行こうか!」
「いや、それはない」
いつものことなのだろうか、苦笑いを浮かべることなく、冷静にツッコミを入れる帝人。
正臣は“いいじゃないか”と未だに食い下がろうとしているが、そんな彼を軽くあしらいながら、帝人は歩みを進めていく。
その二人を追いかけるように杏里と有紗が後ろに続く。有紗は杏里を横目に見やり、ゆっくりと口を開いた。
「杏里…ちゃん」
「…なに?」
「私たち…仲良く、なれるかな?」
そう言うと杏里はその場で立ち止まり、有紗のほうを向いた。
私も杏里に合わせて立ち止まる。
「…うん」
杏里はそう言って有紗に向かって少し笑みをみせた。有紗も杏里に微笑みかけ、再び前方に歩く二人を追うように歩き始めた。
つなぐココロ
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